暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第95話 悪魔の懐に
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ぎる。キリトが逡巡しているうちに……悪魔の向こうでどうにか立て直した部隊が一斉に構えているのが見えた。

 そして、コーバッツの声が響き渡る。

「全員……突撃ーーッ!!!」

 10人いる内の2人はもう瀕死とも言える状態。だから残り8人を4・4に分けその中央にたったコーバッツが剣を翳して突進を始めた。

「や、やめろおぉぉ!!!!」

 リュウキは叫んだが、最早それは届かない。キリトは逡巡している最中だった為か、もしくはあまりにも無謀な指示を飛ばしたコーバッツに絶句し、言葉にならなかったのか、何も言えなかった。いや、恐らく何かをリュウキのように叫んだと思うんだが、何を言ったのか……思い出せない。

 ただ、判る事はあった。

 本当に一瞬の出来事だった。その部隊が……、瞬く間に蹴散らされてしまったんだ。それは最早戦いとは呼べない。悪魔は口から眩い噴気を撒き散らす。その息にもどうやらダメージ判定があるようだ。遠隔の攻撃で脚を止め……そして、右手で持っている巨大な剣。斬馬刀を彷彿させるかのような巨大な剣を突き立てた。

 まるで巨像とアリだ。

 決して、比喩ではない。目の前で人が飛ばされたんだ。それはまるで、映画のアクションシーンように、人間が宙に弾き飛ばされてしまった。

 そしてその飛ばされた中で、1人だけ……不運にも追加攻撃を受けてしまったものがいた。

 その掬い上げられるように切り飛ばされてしまった為、悪魔の身体を飛び越えて入り口まで飛ばされてしまった。それは、不幸にもHPを切らした時に脱出が出来る場所まで来る事が出来た。

 その人物はコーバッツ。

 装着している兜の耐久値は悪魔の一撃であっけなく無くなり砕け散った。そこで表情が露になったコーバッツは、自分自身のみに起きた事が理解できないと言う表情の中で口をゆっくりとひらいた。

「――……有り得ない」

 その後はまるで無音の世界だった。まだ、悪魔は残った軍隊たちを蹂躙していると言うのに……、
まるで、その瞬間は時間が止まったかのようだった。

 コーバッツがそう言った直後に。

 何時聞いても、神経を逆撫でするような効果音と共に、無数の硝子片となって四散していった。

 リュウキは目を見開いてそれを視ていた。
 そして、アスナ、レイナも短い悲鳴をあげ……キリトとクラインは目を背けた。

「………」

 キリトはこの時見た。
 いつの間にかあの馬鹿長くデカイ剣を手に持っているリュウキを。強く柄を握り締めているリュウキを。

「だめ……だめよ……もうっ」

 そして傍らにいるアスナのその声。アスナだけじゃない、レイナもそうだった。
 そうだ……彼女たちだってギルドのトップに位置する。プレイヤーが、ただ
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