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Absolute Survival!! あぶさばっ!!
第二話 平和な平凡の終わり
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ながらポツリと呟く。
その時、不意に背後から「ガタっ」という音が聞こえた。
急いで涙を拭って振り向くと、さきほどの呟きが聞こえてしまったのか、それとも気配で分かったのか、父親を貪っていた『母だったもの』がこちらに歩み寄っているところだった。
母も夏帆と同じように眼球が真っ黒で、だらんと両腕をぶら提げた不自然な格好でこちらに歩いてくる。
琉が木刀を構えたその瞬間、リビングの扉が蹴破られるようにして六人あまりの男女が、リビングに雪崩れ込んできた。
「――――くそッ!」
琉は吐き捨てるように言うと、何か脱出路がないかと視線を巡らせる。
リビングの扉は塞がれてしまい、キッチンは行き止まり。
そうなると、後は―――――
琉はキッチンに併設されている『大窓』の錠を開けると、窓枠を乗り越えて素早く外に飛び出す。
裏庭の地面に着地して辺りを見回すが、運良く窓の外に『奴ら』は居なかった。
そして、裏庭から裏路地へと続く門へ、一直線に駆け出す。
鉄製の門の扉を開け、裏路地へと出る。そして飛び出してきたキッチンの大窓を振り返ると、そこには狂ったように窓枠に手を打ち付ける、『母だったもの』の姿が。
もう、ここに帰ってくることはないだろう。
これが夢幻ではない限り、もう戻ることはできない。
自分は決めたのだ。生きてやると。絶対にあんな風には死なないと。
だから、戻れない。
「父さん……。母さん……。夏帆……」
琉の呟いた言葉は、涙のせいか、怒りのせいか、震えている。
もう振り返らない。前だけを見て、進まなければならない。
琉は後ろ手に門を閉めると、真っ直ぐ前だけに視線を向けて、暗い夜道へと駆け出した。
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