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Absolute Survival!! あぶさばっ!!
第二話 平和な平凡の終わり
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方角から、大爆発が起こったかのような物凄い轟音と熱波が押し寄せてきた。
琉が居る二階部分にもその振動が伝わり、家自体が軋みを上げながら揺れる。
その瞬間、轟音と震動に気を取られたのか、夏帆の琉を押さえつけてくる力が無くなった。
「(今だ!)」
琉は夏帆が爆音に気を取られているその隙に、ありったけの力を片足に込める。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」
琉は腹の底からの叫び声とともに、夏帆の胸部を押さえていた足を蹴りあげ、木刀をブンッと窓の外へ放る。
そして一回転でもするように窓の外へ放り出された夏帆は、握っていた木刀から手を離して三メートルも下のアスファルトへと落ちて行った。
数瞬の後、窓の下で「グチャッ」という何かが潰れる音が琉の耳にこだまする。
「っはぁ、はぁっ、はぁっ……」
琉が呼吸を整えるのも束の間、ハッと我に返って急いで窓から身を乗り出す。
そして―――窓の下のアスファルトの上で、首が変な方向に曲がって辺り一面に鮮やかな華を咲かせて倒れている妹の姿を見、絶句する。
「……か、ほ…………」
その変わり果てて死んでいる妹は、もうピクリとも動かない。
琉は身体から一気に力が抜けていくのを感じ、へなへなと窓際の壁に寄り掛かる。
猛烈な吐き気と押し潰されそうな罪悪感に打ちひしがれていると、突然窓の外から「い、いや、やめてっ!こないでっ!いや、いやぁぁぁあああ!」という女性の叫び声が聞こえてきて、琉は恐る恐る窓から下を覗き見た。
もしかしたら夏帆の死体に通行人が気付いたのかもしれない。自分は現行犯として捕まり告訴でもされるのか―――そんな琉の考えを裏切る、絶望的な光景が目の前には広がっていた。
――――地獄絵図。
そんな言葉しか浮かんでこない程、窓の外の風景は凄惨極まりないものになっていた。
先程の叫び声の主であろう若い女性が、道路の真ん中で数人の男女に囲まれている。しかしそれは『襲われている』というよりも『捕食されている』という表現の方が近い気がした。
「あっ……がっ……」と呻き声を漏らして両目をカッと見開きながら、女性が自分の『身体』が『喰べられていく』姿を茫然と見ている。
群がっている男女は一心不乱に女性を貪り続け、その女性の手を、足を、内臓を引きちぎっては口へと運んでいく。
その場所から数メートル離れた場所では、制服を着た少女が「助けて……」と慄きながら壁際まで追い詰められ、次の瞬間には一瞬の絶叫だけを残して人の群れの中に消えて行った。
茫然と窓の下に広がる風景を眺めながら、街のあちこちに火の手が上がっていることに気が付く。
先程の大爆発はタンカー
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