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Absolute Survival!! あぶさばっ!!
第一話 普通の高校生☆
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が迎えに来る時間ねぇ!ほら、さっさとしないとインターホンが鳴るわよ!」
「うん……わかってる」
『袴田 颯』。琉の中学校以来からの親友であり、同じ男子校に通う生徒でもある。
彼は琉の見た目に怖がらず、自然体として接してくれた初めての友人だった。
その頃、口下手と冷たい見た目のせいで一人の友人も居なかった琉に、隣の席だからと声をかけてくれたのが颯との最初の出逢い。
相変わらず琉は素っ気なく挨拶を返したのだが、颯は全く気にする素振りもなくそれから何度も明るく話しかけてくれたのだ。
琉は最初こそしどろもどろだったり緊張のあまり素っ気なく接したりもしたのだが、いつしか颯とは何の気兼ねもなく笑いあえるほどに仲良くなっていた。
そして琉の性格が見た目と全然違うことを知るや、一人、また一人と心を許してくれる友人が増えていったのだった。
そんな颯は、マイペースと言うかなんと言うか、とても温和な性格で、なにかと琉を気遣ってくれる優しい人柄の持ち主だ。学校に居る時でも、琉と一番長く一緒に居るのが颯である。
颯は律儀なことに、毎朝七時三十五分になると後藤家にまで琉を迎えに来てくれる。今では日課となっているこのお迎えだが、最初の頃は琉が寝坊して数十分待たせてしまったりと颯に迷惑を掛けっぱなしだった。今思い出しても申し訳なさでいっぱいになる。
琉が席を立つと同時に、家中に「ピンポーン」と間の抜けたチャイムが鳴り響いた。
母が大声で「はーい、袴田くんちょっと待っててねー」と叫んだ後、琉に向けて「ほら、琉ちゃんも早く行ってあげなさいよー」と急かすように早口で捲し立てる。
琉は椅子にぶら提げてあった学生鞄を引っ掴むと、「じゃあ、行ってきます」とだけ言って急いでリビングを出る。
リビングを出て細い廊下を進んでいくと、すぐ目の前が玄関だ。
琉はいそいそと学生靴を履き、つま先で地面を蹴りながら玄関の扉を静かに開ける。
「よっ、おはよう琉」
玄関の外には、少しぽっちゃりとした印象の好青年が片手を上げて立っていた。
「ああ、おはよう颯ちゃん」
琉の目の前に居る、色白で髪を短髪に切り揃えた青年こそが、『袴田 颯』本人だ。
颯はニッと笑って白い歯を覗かせると、「じゃあ出発しますか」と言って歩道に立てかけてあった自分の自転車に跨る。
琉も無言で頷くと、玄関横の自転車置き場からママチャリを引っ張り出し、自転車のカゴに学生鞄を放り込むと、颯と同じようにサドルに跨った。
季節は春の宵も明けきらぬ五月の上旬。
真っ青に晴れ渡った空に、一本の飛行機雲が遙か遠くの空まで一直線に伸びていた。
☆
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