暁 〜小説投稿サイト〜
Absolute Survival!! あぶさばっ!!
第一話 普通の高校生☆
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かる通りだが、妹のあの明るい性格は絶対にこの母親から受け継がれている。眠気も覚めやらぬ朝っぱらから、正直鬱陶しいことこの上ないのだが。
「父さん、母さん、おはよう」
母が目の前にフレンチトーストとスクランブルエッグを乗せた皿とコーヒーのカップを並べていく動作を横目で見ながら、少年は静かに挨拶を返す。
母の「んもう、琉ちゃんはテンションが低いわね〜」と歌うように言う声を無視して、少年はナイフとフォークを手に取った。
ここで紹介しておくと、この少年の名前は『後藤 琉』。
ここ後藤家の長男として生まれ、年齢は今年で十八歳。家から四キロ、時間にして自転車で約四十分も離れている県立の男子校に通う、普通のどこにでもいる高校生だ。
そう。琉はどこにでもいる普通の高校生だが、その『容姿』だけは『普通』とはかけ離れていた。
まず、人を常に威嚇しているかのように細められた瞼。本人曰く、ただ『眠いから』だが、何も知らない他人が見れば、軽く悲鳴を上げて逃げ出すくらいだろう。先程、妹の夏帆にも『怖い顔』と評されたが、だちたいこの厳つい眼のせいだ。
そして剃ったかのように薄く細い眉毛。それが一層眼光の鋭さを強調している。
基本的に顔全体の線は細く、意外と形も整っている。が、それがまた冷たい印象を醸し出していた。
髪は母親譲りの癖毛で、手入れが面倒なのかボサボサのまま放置している。長さは少し目にかかるくらいで、特に長いといった印象はない。
部活は文芸部に所属しているためか、中肉中背の筋肉。身長は百八十センチで、まぁまぁ高校生ならば高い方だろう。
つまり総合的に、いや客観的にお世辞抜きで見て、かなり怖い。この一言に尽きる。
しかもただ厳ついとか不良っぽいとかならまだしも、琉はゾッとするほどに冷たい印象なのだ。
普通の『怖い』ではなく、見ているだけで背筋がゾッとする方の、『怖い』なのである。
しかし意外なことに、琉の性格は見た目とはかなり掛け離れているものであった。
幼いころからこんな見た目で人が寄り付かなかったせいか、あまり人前で目立ちたがらないし、何事にも消極的。
そして無愛想無口と言われているが、それはただ琉が口下手なだけであったり、感情を大袈裟に出すのが苦手なだけであったりする。
他にも人を怒るのが苦手だったり、案外ヘタレ思考だったりと、見た目とのギャップの激しさに大抵の人は驚愕を隠せないのだ。
そう。本当は恥ずかしがり屋のシャイボーイ、とでも言ったところだろうか。
琉がフレンチトーストを丁寧に切り分けながら口へ運んでいると、父親がテレビのリモコンを手に取って、リビングに置いてある薄型液晶テレビへと向ける。
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