第二章
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「ここはね」
「メルヘンね」
「そう、メルヘンだよ」
「何かメルヘンって」
そう言われるとだ、私は。
首を傾げさせてだ、こう彼に言うしかなかった。
「柄じゃないわよ」
「僕達に?」
「ええ、そうでしょ」
見れば私も彼もラフな格好だ、私に至ってはスカートじゃなくてズボンだ。他の身なりもラフなものでメルヘンとは無縁だ。
「持ってきたお弁当も和風でしかも」
「僕達の年齢も」
「社会人でしかも二十四よ」
「メルヘンっていう立場じゃないっていうのね」
「そうでしょ、幾ら何でも」
遊園地でも少し、と言葉の中に含ませたうえで彼に言った。
「それは」
「そうなるかな」
「なるわよ、けれどなのね」
「最初はね」
そのお城に行こうというのだ。
「あそこにしよう」
「何かこだわりがあるのね」
「好きだから」
「メルヘンか?」
「実はそうだからね」
「やれやれね、仕方ないわね」
「いいよね、お城で」
彼は私の目を見て問うてきた。
「最初に行く場所は」
「ええ、いいわ」
私は少し困った様なかつ呆れた様な笑顔で溜息をついてから彼に答えた。そうしてそのうえでまずはお城に行った。
お城に行くと彼はお城の中にいる私の写真を撮った、私はその彼にまた問うた。
「写真撮りたかったの?」
「君のね」
「それで来たかったのね」
「ここにね」
そうだったというのだ。
「是非ね」
「場違いでしょ、私には」
「違うよ、似合ってるよ」
「本当に?」
「僕から見ればね」
それでここに来て写真を撮ったというのだ。
「思った通りだよ」
「全然そうは思えないけれど」
「まあまあ。次は着ぐるみの動物達、お姫様と一緒になって」
「また写真を撮るのね」
「そうしていいよね」
「言っても聞かないでしょ」
私は彼に困った笑顔で返した。
「そもそも」
「まあそれはね」
「仕方ないわね」
また溜息を出してみせた、けれど顔は笑顔だった。
「一枚だけよ」
「うん、じゃあね」
こうして私は彼に写真を撮ることを許した、けれど実はまんざらでもなかった。そして写真を撮ってもらってから。
私は彼の目を見て尋ねた。
「それで次は」
「メリーゴーランド行く?」
「今度はそこ?」
「うん、どうかな」
「何かまたお姫様なところね」
「駄目から」
「今日は一体どうしたのよ」
やれやれといった笑顔を作ってみせて彼にまた尋ねた。
「本当に」
「何かそんな気分なんだ」
「お姫様と王子様?」
「王子様かな」
「それかナイトか」
「あはは、僕がナイトなんだ」
「お姫様に仕えるナイトかしら」
こう彼に言った。
「そうじゃないかしら」
「ううん、じゃあメリーゴーランドでも」
「馬に乗
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