22部分:第二十二章
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くなり人の足を遠ざけるようになっていた。交通への差し障りも出て来ていた。そんな中で彼女は周りに誰も見えはしない池のほとりに立っているのであった。紅の世界に。
そこで誰かを待っているようであった。実は彼女は今日ふらりとここに来たのである。そして立っているだけであった。
だがそこに彼女は来た。流れるような動きで。ゆうるりと沙耶香の前に姿を現わしたのであった。
「誰かと思ったけれど」
「私の妖気に誘われたのかしら」
「ええ」
雪女は沙耶香の言葉に頷いてきた。沙耶香は身体は池の方に向けているが顔は自分の左手にいる彼女に向けてその妖艶な笑みを浮かべていた。
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