十七話:炎と日常
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かのように終始笑顔で語るジーク。
だが、その目には一切の光が灯っておらず、まるで地獄の亡者が道連れを品定めしているかのように感じさせた。
まずい、どう考えてもこれはまずい。
「あの子は私の対戦相手なのにえらいなかよー、しとったなぁ。もしかして、私よりもあの子の方に行きたかったん?」
「い、いや、そんなことはない―――」
「そうやね。あっちにはミカさんも居るし、可愛い子がぎょーさんおるもんなぁ。私と一緒におるよりも楽しいんよね」
ダメだ。もう聞く耳を持ってない。
というか、これは本気でヤバいぞ。選択肢を間違えたらヤンデレルートに進みかねない。
下手したらNice boatな結末が俺を待っているかもしれない。
とにかくジークを宥めるためにまずは謝ろう。
「その、だ……。お前の傍から離れてすまなかった」
「ええよ、別に。どうせ、私のことなんかどうでもええんやろ」
「そんなことはない! 俺にとってお前は…ッ! ……その、大切な存在なんだ」
冷たく言い放つジークだったが続けて出した俺の言葉にピクリと眉を動かす。
流石の俺もこの期に及んで嘘をつく気はない。命が冗談抜きでかかっていそうなこの場面を何としてでも切り抜けなければならないのだから。
ジークは俺にとって大切な半同居人だ。だから嘘は言っていない。
「そ、そんな優しいこと言ってまた私を騙す気なんやろ!」
「確かに俺なんかが言っても信用できないだろうな。だから、これは俺からのお願いだ」
俺の手を振り払おうと暴れるジークの肩を掴み真っ直ぐにその瞳を見つめる。
透き通るような青色の瞳に俺の姿が映し出される。
切なげに唇を震わせるジークに向けて俺はしっかりと告げる。
「これからも俺をお前の傍に居させてくれ!」
少なくとも大会中はセコンドとして役目を果たすつもりだ。
終わったらどうなるかは俺にも分からないけどな。
とにかく、俺の言葉は無事にジークに届いたようでほんのりと頬を染めたままパクパクと口を動かしている。
その後、フイとそっぽを向いて体の後ろでせわしくなく手を組み合わせながらツンとした態度で言い放つ。
「そ、そんなに頼むんなら仕方ないから私の傍におってもええよ」
見事なまでのツンデレ発言に思わずツンデレ乙と言いたくなってしまうがここで今までの苦労を台無しにするわけにもいかないのでグッと堪えて爽やかな笑みを浮かべてみせる。
「ありがとうな、ジーク」
これで何とか無事に明日を迎えられそうだ。
だが、まだ油断は出来ないので念には念を入れてジークの頭を撫でる。
ふにゃりとした顔になりながらもっととせがむよう
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