第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
倒れるときは前のめりでお願いします
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の間わずか2秒ほど。しかし呼吸は荒さを増していた。
しかし、珠希が見つけた応急処置は血中の炭酸ガス濃度が元に戻るより前に酸欠による窒息死に至る可能性があった。よって珠希は倒れてきた男子生徒を真正面から抱きかかえた状態のまま、背中に手を回してさすってやることで呼吸のリズムを取り戻させようと試みた。
「どうした? 何があった?」
「あ、えっとですね……」
肩幅のある、いかにも生徒指導もやってます的な体育教師という体格の男性教師に尋ねられ、珠希は思わず萎縮してしまい、言葉が出ない。そんな中、珠希をかばうように白衣を着た女性教師が男性教師と珠希の間に割り込んできた。
「ちょっと、これどうしたの?」
「あのですね、この男子、気分悪いみたいで……」
「あ、そう。よくある貧血かしら」
貧血がよくあることなのか――と思う、クリエイター特有の超不健康な生活を送りながら風邪かインフルエンザくらいしか病気を知らない超健康優良児な少女の前に姿を見せたのは、白衣を着た痩身美人。痩身麗人と表現できない理由は、白衣の下の着衣や髪型が若干ラフに感じたとか――。
しかし明らかに保健室の先生といった風体の女性教諭は、呼吸がだいぶ落ち着いてきた男子を介抱し続けている珠希から事情を聞きながらも、眉一つ動かさずに状況を見ていく。
「で、今そのコはどんな感じ?」
「あっ、過呼吸っぽいんで、動かすのはちょっと――」
「あらまぁ。それじゃ様子が落ち着いたら保健室で休ませましょうか」
「できればそうしてほしいです」
傍目からすれば抱擁シーンにも動じず、患者を無理に動かさないのを大前提に様子を伺ってきてくれたこの養護教諭には大変助かった。ここでモンペアよろしくヒスでも起こされて過呼吸の患者を落ち着かせられなければ余計に状況は悪化してしまう。別にこの男子生徒の体調管理は珠希の責任でないにしろ、始業式からこれでは後味が悪すぎる。
この会話の間も、珠希は男子生徒の背中を軽く叩きながら呼吸のリズムを取り戻させていたが。
「随分手慣れてるのね、アナタ」
「まあ、弟や妹相手に応急処置はやってきてたんで」
「へぇ。随分と弟妹想いのお姉さんね」
緊張した空気を和ませるつもりなのか、女性教師の言葉に珠希自身、男子生徒が倒れてきてからフル回転していた頭が冷えていくのを感じていた。
「それじゃ、保健室にはワタシが連れてくから」
「あ、はい。お願いしま……あれ?」
珠希の解放の甲斐もあって男子生徒の呼吸が落ち着くと、ずっと膝立ちで状況を見守っていた女性教師は珠希から男子生徒の身柄を預かろうとする――が、その行為はなぜか珠希のほうからストップしてしまった。
「どうしたの?」
「え? ちょっと、何か、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ