外伝
外伝・闇の中で
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、父様、姉さま。」
いつのまにか目の前には私の自慢の家族が揃っていた。いつも険しい顔をしているエレオノール姉さまも含めてみんなが私を笑顔で見ている。
――眠れ眠れ――
うるさい。
――永遠に永遠に――
邪魔だ。
「Please, call my name」
「ごめんね、待たせたわね。いくわよテゥース!」
「Yes master, stand by ready, set up!」
名前を呼ぶ、私の大切な相棒、私の足りないところを補ってくれる仲間。一度光に包まれ形が変わる、小さなアクセサリーからレイピアのような細見の棒状になる。レイピアのような外見だが剣ではない、タクトだ、剣でいう柄にあたる部分に澄んだクリスタルの輝きが光る。
――眠れ眠れ――
――永遠に永遠に――
「さっきから五月蠅いのよ!いい加減消えなさい!」
テゥースを振るうとともに、円形の魔法陣が私を囲むように幾つも現れる。
「エクスプロージョン!」
その呪文とともに魔法陣から外側に向けて爆発が起こる。そう、これが私だ、私の魔法だ!
頭の中で囁いてくる声を吹き飛ばすと、いままで幸せで輝いて見えていた世界が紙で出来た薄い絵のようであったことに気が付く。私の魔法でところどころ穴だらけになった世界、その穴から闇が迫ってきた。波のように闇が迫り、再び私を取り込もうとする。しかし何も恐れることはない。
「誰の娘に手を出しているのですか?」
横から刃を伴った強風が闇を吹き飛ばす。
「いきなさいルイズ、ここは私たちが引き受けます」
母が杖を振るう度に闇が押しのけられる、その隣ではエレオノール姉さまがゲシゲシと闇を足蹴にしている。
「みんな、ルイズを案内してあげてね」
ちい姉さまの言葉と共に、沢山の動物たちが彼女の回りを囲う。みんなちい姉さまを好いている子達だ。
「ありがとうございます、ちい姉さま」
動物達に導かれ、闇の中で唯一の光が見える方へと進む。しかし、闇はなおも私に追い縋ろうする。しかし恐れることない。父の魔法がその闇を吹き飛ばす。
後ろは私の大好きな家族がいる、ならば私は後ろを向かず前に進むだけだ。
やがて、追い縋る闇も消え去り、家族の声も聞こえなくなる。
いつのまにか数が減り最後の一匹になっていた子猫の頭を撫でると、子猫はうれしそうに鳴いて、光になって消えていった。もう案内はいらない、行くべき場所は分かっている。
「まったく、寝坊助なんだから。待っていなさい、いま起こしに行ってあげるわよ、はやて!」
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