外伝
外伝・闇の中で
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ちている石ころに向かい杖を振り、呪文を唱える。眩い光が放たれた後、石ころは光輝く金属に生まれ変わる。それを母がひょいと拾い様々な角度から観察する。
「ふむ、確かに金になっていますね、よくできましたルイズ」
「はい、ありがとうございます」
無事に魔法を成功させた私を母が褒めてくれた、なんだか初めて魔法を褒められたような感触がしてこそばゆかった。
初めて? 母はいつも魔法を成功させた私を見て褒めてれてたはず…
――眠れ眠れ――
魔法の成功の証である金を手に取りまじまじと眺めて見る、成功してとても嬉しいはずなのに何かが違う気がする。そもそもなんで成功したなんて思ったのかしら? 杖を振って呪文を唱えていつも通りにすれば魔法が出るのは当たり前のはずなのに。
当たり前なのにどうして成功したなんて? まるで失敗したことがあるみたい…
−−永遠に永遠に――
「確かによくできてます。しかしそれでは駄目です」
「え?」
魔法は確かに成功している、錬金で金を作れるだけで十分にすごいことのはずだ。なのに何故に母は駄目出しをするのだろうか?
「見事な魔法です、しかしルイズ、それは貴方の魔法ではないでしょう?」
私の魔法? それは何?
「Please, call my name」
突然、私の胸元から声が聞こえた。胸元に視線をやるとクリスタルのようなアクセサリーがぶら下がっていた。
「あなたが喋ったの?」
「Please, call my name」
名前を呼んで? でも私は貴方の名前なんて分からないわ。 本当に分からない? 忘れているだけ?
「ルイズ、選びなさい。 偽りの魔法を持って幸福な夢の中で生きるか、貴方の本当の魔法で大切な未来を勝ち取るか」
偽りの魔法でも幸せなままで過ごせるならそれはとっても楽しい気がする。でもそれで本当にいいの?
「Please, call my name」
私はどうしたいの? ここで一人、空想の幸せに浸りたいの?
「Please, call my name」
違う、そうじゃない。それは私じゃない。
「ルイズ、私は貴方にどちらかの選択を強要はしません、どちらを選んでも私は、私たち家族は貴方を守りましょう。ただ一つだけ、あなたは誇り高きヴァりエール家の娘、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです。ならばどうすればよいか、答えは決まっているはずです」
そうだ、私はルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールだ。
アクセサリをぎゅっと握りしめる。何を迷うことがあっただろうか、答えはとうに出ている。
「ありがとうございます母様
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