21.友達
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るで自分を罵って欲しいかのように頭を振ってリングアベルの言葉を否定しようとする。彼女の中にある、強い背徳感と罪の意識がそうさせている。ならば敢えてリングアベルは言わなければならない。――そんなものは間違っていると。
「俺はそんなことでは怒らない。ガネーシャ殿だってそうだ。たかがアスタリスクの力を失った程度で自分の娘を捨てるような男だと思われていたのか、と大層嘆いていた。出会ったばかりの俺ならばともかく、ミネットはガネーシャ殿のことは信頼すべきだった!」
「言える訳ないにゃ!!ガネーシャさまに、力がなくなったなんて……!!あの人の役に立てなくなったら、ミネットは居場所がにゃいのにゃあ!!」
「………なぁミネット。お前はひょっとして未だに他人を信頼しきれていないんじゃないのか?」
「そ、それは……でも!ミネットはもうアスタリスク所持者としての力を失ったにゃ!もうみんなに褒めてもらえないのにゃ……!求められていない子は、捨てられるにゃ……!」
不安でいっぱいだったミネットの眼から、悲しみの涙がぽろぽろと溢れ出る。女性を泣かすのは男のやることではないが、ミネットの溜まりに溜まった悲しみはどこかで清算しなければいけないだろう。ならば、リングアベルのやるべきことは一つだ。
「お前の大好きなガネーシャ殿はそんな薄情な神か?俺には分かる、あの人はそんな理由で絆を捨てたりしない」
「絆……?」
「力を失っても、俺達の繋がり――絆は失われない。現にミネットには今も深い絆で結ばれた頼れるパートナーがいるじゃないか。なぁ、ビスマルク?」
『グルルルルル…………ガウッ!』
「あっ……!!」
ねこ使いとしての根苦に対する優位性は失われ、今のミネットに残っているのは恩恵と先天的な猫との親和性だけだ。上層とはいえ元階層主という強力な魔物ならばその気位を高いだろう。そんな魔物が、未だにミネットの身を案じるように小さく吠えた。
「どうだミネット?後はお前の想い次第だ。改めて皆に歩み寄るか、それとも絆に見て見ぬふりをするか……」
「ビスマルク………リングアベル。こんなミネットでも、友達でいてくれるのかにゃ……?」
「勿論だとも!女性の誘いは断らない主義なのでな!……あ、別に男なら断るという事ではないぞ?」
くすり、とミネットはおかしそうに笑い、仲直りの握手を交わした。
「やっぱりリングアベルは変な奴なのにゃ」
その後、ミネットはガネーシャ・ファミリアの一員として今まで以上に努力するようになったそうだ。ただし、その分ガネーシャへの甘えが強くなり、暇があれば彼の膝の上で丸くなっている姿が目撃される。
ただし、彼女は非常に幸せそうだが背中に抱えた巨大な猫のぬいぐるみが邪魔でガネーシャは仕事がはかどっていないようで
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