21.友達
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たのに……しょうがない。これは俺がおいしくいただくとしよう」
ぴくっ!とミネットの耳が動いた。
脈あり、とリングアベルはほくそ笑む。その手には、食欲をそそる独特の香りを放つ一つの硬くて茶色いもの。――知る人が知れば目玉が飛び出る世界最高級の魚肉加工品。そう、これは対ミネットの切り札として持っていた「イッカクぶし」というかつおぶし以上の素晴しい品なのだ。
「いやぁ、ガネーシャ殿からミネットに渡してほしいと預かった代物だったんだが、受け取ってくれないなら貰ってもいい約束だったしなぁ?」
ぴくぴくっ!!と耳が激しく動く。
このイッカクぶし、元々はガネーシャがミネットの為に用意していたものだ。リングアベルはそれを利用して、更にミネットの欲望に働きかける。
いま、ミネットの中で天秤が大きく揺れている。臆病風のまま引っ込んでいるべきか、猫たちの未来の為に邁進すべきか――さあ、もうひと押しだ。
「全世界の猫が垂涎する幻のイッカクぶし……町の猫たちは絶対欲しがるだろうなぁ。ものすごく欲しがるだろうなぁ……ああ、ミネットがこれを受け取れば猫たちは至福のひと時を得られるのに……だが、ミネットが口を聞いてくれないので俺の物に――」
「…………ままま、待つのにゃ!!」
かかった!!とリングアベルはにやりと笑った。あの猫大好きミネットがこの話に乗らない筈がないのだ。猫への愛で様々な葛藤を乗り越えたミネットのすがるような視線がリングアベルを捉える。
「そのイッカクぶしを………譲ってくれにゃいか!?」
「もちろんいい!……が、その前に一つ俺の話を聞いてくれ」
ミネットの顔が、欲望の支配からまた暗い物へと変化していく。
とうとう糾弾が始まるのかと。しかし、リングアベルの口から漏れたのはそのようなことではなかった。
「俺は、ミネットに襲われて死にかけたことを恨んではない。猫もビスマルクももちろん恨んではない。だが、俺にはどうしても許せない事が一つだけある……何だと思う、ミネット?」
「……わ、わからにゃい」
「なら教えてやる!!俺は………たかがこの程度でミネットを嫌いになるような男だと『自分が思われている』ことがどうしても許せないんだ!」
詭弁と言いたくば言えばいい。だが、リングアベルの想いに嘘偽りはない。
頼って欲しかった。辛かったのならただ一言、助けてほしいと言ってほしかった。その言葉が彼女の口から出てこなかったのは、ミネットにとってリングアベルが頼れる存在ではなかったからだ。女性に信用されていない男など、刃の欠けた剣と同じことだ。
「にゃっ!?……み、ミネットのことは嫌いじゃにゃいのかにゃ!?う……嘘にゃ!ミネット、たくさんひどいことしたし、ひどいこと言ったにゃ!!」
ミネットはま
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