21.友達
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「俺に至っては記憶喪失な上に殺されそうになってるからな……」
急激に食事がマズく感じてくる陰気な3人であった。
リングアベルは、最後にガネーシャから聞いた「ミネットのこと」を二人に話さなかった。
元々口止めされているし、ミネットにも言わないで欲しいと伝えらてた。
彼女の出自。彼女が居場所を求める理由。
彼女を襲った、本人も詳しく覚えていない形なき悲劇。
全てを語った上で、ガネーシャはこう問うた。
『リングアベル少年。俺はこれからもずっとあの子の居場所であり、親として居続ける。だが、もしもそれだけでは不十分な日が来たら………少年も、ミネットの事を支えてあげてくれないか?あの子には、少年のような存在も必要だと思うのだ』
子を憂う親の眼とは、あのようなものだったのだろう。
(………ん?魔物の気配……?)
不意に、のそりと大きな影がゲストルームに入ってきた。
勇ましき鬣の大獅子ビスマルクと、その上で俯いたミネットだった。
リベンジに来たような敵意は一切なく、逆におっかなびっくりリングアベルに近づいているようだった。さっきから遠慮がちにこちらをチラチラと見ているが、こっちが顔を向けるとビクッと震えて鬣に潜ってしまう。
ベルとヘスティアが何事かと食事の手を止めるが、リングアベルは敢えてそこで、前に踏み出した。
突然の接近にミネットが慌てて鬣の隙間からこちらの顔色をを伺っている。
「あ……り、リングアベル」
「そうとも!町の人気者にして愛の戦士、リングアベルだ!」
不安を払しょくさせるために全力のスマイルを見せる。自分で言うのも何だが男前なスマイルだと自負しているが、それでもミネットは自らが殺そうとしたリングアベルへの負い目からか、なかなか目を合わせようとしない。
「もう動いても大丈夫なのか、ミネット」
「……………」
何か言いたげに顔をあげる、が、結局何も言わないまま俯く。初めて出会った頃の無邪気な姿はなりを顰め、どこか周囲に怯えているようだ。雰囲気からしてきっと謝りに来たのだろうが、勇気がなくて一歩踏み出せない――そんな様子だ。
今、彼女はこう思っているだろう。
――リングアベルはきっと怒っている。いや、もうミネットの事など見たくもないと思っているかもしれない――と。そんな嫌な想像ばかりが頭を支配し、前へと踏み出せないでいるのかもしれない。ならば、向こうからこちらに来たくなるように仕向ければいい。
そう思ったリングアベルは、「気は進まないが……」とぼやいて懐からある物を取り出した。
「む?俺と話をしてはくれないのか……せっかくこの珍味で知られる巨大魚イッカクの身で作られた幻の逸品『イッカクぶし』をプレゼントしようと思っ
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