平和時行という男
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は命を助けてくれた魔術師。……考えてみれば俺は彼のことを何も知らないんだな。
「なあ、凛? 時行って地上にいた頃は一体どんなことをしていたんだ?」
「あら、青野君? 平和君のことが気になるの?」
「ああ、教えてくれないか?」
「……そうね。昨日のような事があったら気にもなるわよね。いいわ、教えてあげる。地上にいた頃の平和君はね、NGO団体に所属していた医師だったの」
「医師!? 時行が!?」
時行の事が気になって凛に聞いてみた俺は、彼女の口から聞かされた意外な事実に思わず大声を上げた。
(あら〜。人って見かけによらないですね)
耳元で霊体化したキャスターの声が聞こえてきたが俺も同意見だ。医師って時行の奴、俺と同い年くらいだろ?
「正確には医師のスキルを持った魔術師ね。『心霊治療』って言って、平和君はネットワークを介して患者の魂に回復魔術を行うことで病や毒、敵の魔術師によってかけられた悪性プログラム……いわゆる呪いを浄化することを得意とする魔術師なの。実際に彼は今までに何人もの通常の手術では助けられなかった患者達を心霊治療で救ってきたわ」
病や毒、呪いを浄化することを得意とする魔術師。だからサーヴァントの毒を浄化できたのか。
思い返してみたら初めて会った時も俺の体調を気遣ってくれていたな。それも時行が医師だったからか。……あれ? だとしたら……。
「なあ、凛? 時行はどうしてこの聖杯戦争に参加したんだ?」
話を聞く限り、時行はこんな戦いに参加するような人間とは思えない。それは凛も同じようで彼女も首を傾げる。
「……さあ、何故かしら? 正直、ここで平和君を見たときは私も『何で?』と思ったわ。彼ってば魔術師にしては我欲が薄くて、こんな戦いとは無縁だと思っていたからね。まあ、聖杯戦争に参加した以上何か目的があるんでしょうけど、平和君のことだから周りに迷惑のかからない無害な願いなんでしょうね」
時行の願い事か……。一体何なんだろうな?
〜アヴェンジャーside〜
「む、ムーンセルの機能を全て自分のものにする……?」
マイルームで私はマスターである魔術師、平和時行がこの聖杯戦争に参加した理由を聞いて思わず呟いた。
「そうだ。変だと思うか?」
「いや、変っていうか……。その、ええ〜?」
昨日、あのムカつく狐耳のキャスターのマスター、青野北斗を治療した自分のマスター、平和時行の姿を見た私は今日、戦闘訓練をお休みしてマスターの事を色々と教えてもらった。
そして私はマスターが地上では凄腕の魔術師のお医者さんで、聖杯戦争に参加した理由も聞いたのだが、まさかそんな大それた目的をもっていたとは思わなかった。ムーンセルの力を使って
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