第1章 光をもとめて
第1話 はじめまして
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ため息を吐く。このタイプの男は初めてだったからだ。不思議と戦おう等とは思わなかった。殺すと言ったり、色々と変な男だけど……、本当に悪い男だとは思えない。先ほどの連中と比べてしまっているから、尚更だ。
「あ、や 止めてっ ち、違います。こ、この人は私を助けてくれた……恩人なんですっ」
今日一番の声だろう。はっきりとそう言えた。言える程まで回復した様だ。その言葉を聞いたランスは見る見る内に表情が強張ってゆく。
「なん……だと? それは、君が騙されてるだけじゃないのか? 助けに来るって風貌じゃないだろう。どっちかって言えば、盗賊が似合うぞ。何より顔、隠してるし」
ランスは剣でびしっ!っと男の方を指差した。
「ふぅ…… やれやれ、だな」
ため息をつき、フードを取った。そのフードは身に纏っている《プレラン・ローブ》と一体物でその布地から薄手で簡易な鎧が露になった。通常の鎧は、ゴツゴツしているイメージのあるが、これは、とがった部分を切り取って加工。速度重視にしたような鎧だった。自分自身のスタイルに合った装備も戦いにおいては重要だから。
「な……ななっ!」
それは今までの荒くれ達の格好から考えたら、流石のもう一目瞭然だった。目の前の男がこんな貧相な奴等と同じな筈が無いのだ。それなりに整った装備。……自分ほどじゃない。と思ったのはランスだから。
「オレ様よりも早く可愛い子を助けただと! 格好いいオレ様が可愛い子を颯爽と助ける、それが決まっているというのに!」
「いや、無茶言うな。訳が判らんって」
そう強く言っているランスだが、少なからず肩を落とすランス。だって、さっきまでとは雲泥の差だったからよく判った。
カモがネギしょってきた! と思った矢先、まさか、飛翔でカモ共々逃げられたイメージだろうか。
「まぁ、見たところ、君達はオレと同業者のようだ。 ここにいた連中とは全然違う。……腕もそうだしな」
「あ、そうです。はい。 私はシィルと言いまして、こちらはランス様。私のご主人様になります」
男は、ランスとシィルを見てそう判断していた。周りには5人の死体が転がっているのだ。連中の会話から察してまだ仲間がいる、そしてその格好も中のヤツと大差ないことから、死んでいる連中が仲間なのだとわかった。
(わぁっ……凄く若い冒険者さんです。ひょっとして、私より……?)
シィルは、男の顔を見て思わずそう思っていた。
フードから出てきた男。その顔は、きっと厳ついだろうな……、と失礼ながら思ってしまっていたのだが、見てみれば非情に整った顔立ちだった。でも……、そうあれだ。口に出したら失礼だけれど。
「だぁぁぁぁ! もう少し、オレ様がさっきの連中に気づいていたら! ぐあああ! もうちょっと
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