遠征前日とスウィードに……
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、今日はボコボコにされた記憶しかありません……」
「まあそう自分を卑下するなって。今日相手して思ったが、何教えたらいいか逆に困ってるんだぞ?」
「え?」
俺のその言葉に、スウィードは疑問の声をあげた
「回避も防御も問題なし、攻撃も刀は斬り方とか難しいのに筋はいい。集中力さえあれば視覚も広いから対処も早い。やっぱ団員全員が入団を認めただけのことはあるな」
「そ、そうですか? え、えへへ、褒められた……」
嬉しそうに照れるスウィードはやった、と小さく胸の前でガッツポーズ。
年相応のその様子に俺もつい頬を緩めてしまう。
なんやかんや言っても、まだ一五歳の少年だ。調子づかせるのは危険だが、飴と鞭の使い分けで褒めて伸ばすのがいいだろう。
「ま、初日はお疲れさまだ。ご褒美……といえるか分からんが近くで見せてやるよ」
「……? 何をですか?」
「まあまあ。とりあえず立ってみ?」
俺に促されて立ち上がるスウィードは躊躇いながら俺を見る。対して俺は何をしているかと言えば……スウィードから距離を取っていた。
「……このくらいでいいかな」
だいたい三M程の距離を取って立ち止まった俺はスウィードの方を向いた。丁度、スウィードと真正面から対峙しているような状態だ。
先程鞘に戻した【物干し竿】を再び抜き放つ
「あ、あの、式さん?」
「安心しろって。この距離なら燕返しは当たらないから」
「……え? 燕……返し?」
「おうともさ。真正面からの方がよく見えるだろ?」
「えっと、見せてもらえるのは凄く嬉しいんですが……あの、当たりません? これ」
「だから当たらないって。信じろ信じろ」
は、はい、と顔を恐怖でひきつらているスウィードを他所にして【物干し竿】を構える。
体は半身に、刀は水平。そこに敵がいる感覚で
「秘剣ーー燕返し」
同時に描かれる三つの円弧。
鋭い三閃が空間を斬り裂いた。
「どうだ?」
刀を鞘に戻しながら尋ねてみると、スウィードは尻餅をついて口をパクパクさせていた
「す、凄かったです……」
「だろうな。純粋な剣技だけでやるんだったら、俺しかいねえんじゃねえか?」
もともとアサシンの力を持つ俺だからこその技だろうし。
ちなみに、剣技だけでの勝負なら、俺はアイズ……【剣姫】との勝負に負ける気はしない。
ただ、あの付与魔法、風が強すぎるのだ。なんだあれは、チートだチート。
俺が言えた言葉ではないが、にしてもその効果と威力がヤバイのだ。
……今の力に文句はないが、火力の高い宝具が欲しい……
以前の食料庫でも実感したことだが、やはり俺には火力が、それも、一点集中型の
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