34話 ≪視えない心≫
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のイタズラっぽい云い回しに、サラマンダーは軽く舌打ちして再び顔を背けた。
「そういえば、男の人か女の人かハッキリしないって云えばク族のクイナと似たようなものよね!」
「お、おいエーコ、それ云っちゃあ……!」
何故か云われた本人より、ジタンが困惑している。
「だってそうじゃない? 髪は長くてパッと見女の人っぽいけど声が低めだし、だからって男の人の声って感じでもないし! 胸の辺りも特に膨らんでないでしょ? あたしはまだまだ成長過程だけどっ!」
「 ………… 」
相変わらず無表情のマゥスンは、楽しそうに話し続けるエーコを静かに見守っている。
「で、結局アナタって─── 」
「エーコ、それ以上追究するな」
サラマンダーが、いつも以上に声にドスを利かせてエーコを言葉で制した。
「え〜? 何よサラマンダーってば! あたしが聞きたいのは、この人が仲間の人とちゃんとお話したことあるのかってことよっ!」
「な、何だ……肝心なとこ聞きたかったワケじゃないのかよ、エーコ……」
ジタンは少し、残念そうにうなだれた。
「肝心なことでしょ! どう見てもこの人、仲間の人と楽しくおしゃべりとかしてなさそうじゃないの! きっとアナタのその無愛想すぎる感じに、仲間の人はすっごく物足りなく思ってるはずなのよっ!」
「 ───── 」
「ほら! そのダンマリがいけないの! アナタってば、どこに感情おき忘れて来ちゃったのよっ?」
「エーコ、そのようにまくし立てるでない。人の性分というものは、そう簡単に変えられはしないものじゃ」
「でもフライヤ、この人このまま元の場所に戻っても仲間の人と仲良くなろうとしないわよ! だからこの際、徹底的にダメ出しして……! ひゃっ、ちょっと何するのジタン!?」
急に小さな体をヒョイっと横抱き上げられ、エーコは驚いた。
「マゥスンに無理させないって約束だろ? 云う事聞けない女の子は、オレがここから盗み出しちゃうぜ?」
「じ、ジタンにならいくらでも盗まれたいけど……っ。あ〜もう、いいわよ! お・や・す・み・な・さ・いっ!!」
エーコはジタンから離れ降りると、一度名残惜しそうにマゥスンへ一瞥を向けてプンスカ部屋を出て行った。
「んじゃあオレも失礼するけど……、後はよろしくなフライヤ、サラマンダー! ゆっくり休んでくれよ、マゥスン?」
ジタンもエーコに続いて、部屋を後にした。
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