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黒魔術師松本沙耶香 妖霧篇
8部分:第八章
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。私は日本におりますので」
「ではまた何かあれば御呼びするということで宜しいでしょうか」
 ハーネストがこう提案してきた。
「今回と同じように助っ人として」
「ええ、それなら」
 沙耶香はそれに頷いた。
「喜んで。来させてもらいますわ」
「それは何より」
「ではあらためて言いますね」
 そしてマクガイヤがまた言った。
「シーユーアゲイン」
「シーユーアゲイン」
 ハーネストも言った。
「また御会いしましょう。機会があれば」
「はい」
 沙耶香もそれに応えた。そして彼女も言った。
「シーユーアゲイン」
「また御会いしましょう」
「機会があれば」
 互いに言い合う。
「ロンドンの女の子達も気に入りましたし」
「そちらですか」
「何なら男の子達でもよいですが」
「そちらは期待できないですね」
 ハーネストは苦笑しながら言葉を返した。
「ロンドンは男同士の愛の街ですから」
 これは本当のことであった。ロンドンは欧州においてホモセクシャルの聖地の一つとまで言われているのである。その為か隣国の政治家にそれを皮肉られたこともある。少なくともオスカー=ワイルドの時代とは全く異なっているのが現在のロンドンの風俗の実情であった。
「美男子を選ぶのは苦労しますよ」
「それは甘いですわね」
「何と」
「男も女も陥落させるのは簡単なこと」
 笑みを妖しげなものに変えてきた。
「この目で見るだけで。目の動きだけで陥落させることができます」
「それも魔術ということですか」
「はい」
 沙耶香は答えた。
「これもまた魔術。それもとっておきの」
「怖いですね」
「それでは警部さん達も如何ですか」
「いえ、私は生憎」
 だが彼は苦笑してそれを拒んだ。
「婚約者がいますので」
「私も。恋人がいますから」
「あら、残念」
 それを言われるとあっさりと引っ込んだ。
「それでは仕方ありませんわね」
「それは私もですよ」
「私も」
「そのわりにはホッとしたようなお顔ですけれど」
「えっ、そうでしょうか」
 二人は沙耶香にそう言われると少し慌てた様子になった。
「冗談ですわ」
 そんな二人の様子を見て気が晴れたのかにこりとした笑みに戻っていた。そして言った。
「それではまた」
「はい。御会いしましょう」
 そしてまたもや挨拶を交わした。
「日本にいらした時は是非おいで下さい」
「場所はどちらでしたっけ」
「東京ですわ」
 彼女は言った。
「一〇〇〇万の魔都。そこが御二人を待っていますわよ」
「一〇〇〇万の魔都ですか」
「ええ。是非おいで下さい」
 ラッタルを登りながら言う。
「今度はそちらで。夜に御会いしましょう」
「はい、夜に」
 二人は言った。
「それが貴女のおられる世
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