6部分:第六章
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それがやけに引っ掛かった。
「どういうことなのかしら」
だがそこまではわからなかった。彼女は霧の言葉の真意がわかりかねていた。だが一人道で考えてもどうにもなるものではなかった。とりあえずこの時は一人ホテルに帰ることにした。そして休息をとった。朝はこれまで通り入浴と着替えを済ませた後でルームサービスの朝食を採った。それからヤードに向かった。
「そうですか、遭遇しましたか」
「はい」
ハーネストとマクガイヤに昨日のことをありのまま言った。二人はそれを聞いて考える顔になった。
「今度はオレンジとレモンの歌ですか」
「はい」
「この前はリング=リング=ローゼィーズで」
「ええ。そして香りです」
「香りですか」
「はて」
それがどういうことなのか二人にもわかりかねていた。
「そういえばその香水は」
「キンモクセイの香水ですが」
沙耶香は自分が着けている香水に関して言及した。
「キンモクセイ」
「日本では秋に咲く花でして。人気のある花の一つです」
「そうなのですか」
「黄色い花で。この様に非常にいい香りがします」
「黄色い花」
それを聞いてマクガイヤの目の色が変わった。
「ええ。それが何か」
「キンモクセイは黄色い花ですよね」
「はい」
「それで昨日霧の怪物が歌った歌ですけれど」
「オレンジとレモンの歌が何か」
「それです。オレンジとレモン、そしてそのキンモクセイの共通点は」
「黄色ですか」
「そう、それです」
マクガイヤの声が大きくなった。
「怪物は香りと言いましたね」
「はい」
「若しかすると貴女のその香水に気付いて来たのかも知れません。だからマザーグースの歌はそのキンモクセイと同じオレンジとレモンの歌」
「そうだとすると」
「そう、そしてリング=リング=ローゼィーズは」
「赤い薔薇」
「あの学生が襲われた時に持っていたのも赤い薔薇です」
「では」
「はい。おそらく魔物はその花の香りに誘われて人を襲っているのです。娼婦通いが好きな者が狙われるのも」
「香水の香りですか」
「そうです。これで納得がいくのではないでしょうか」
「そうですね」
沙耶香はそこまで話を聞いてある程度は理解した目になった。だがどういうわけか全て理解した目ではなかった。
「ですがまだ疑問があります」
「それは」
「花の香りといっても色々あります」
「はい」
「マザーグースも色々あります。ですがあの怪物が歌っているのは三曲だけ。知られている限りでは」
「それは」
「それだけではありません。あの学生が襲われた日私は娼館に通いました。そしてそこで娼婦達の香りを身に纏ったのですが」
「その時は襲われなかった」
「はい。怪物は全ての香りに誘われているわけではないと思うのですが。どうでしょ
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