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黒魔術師松本沙耶香 妖霧篇
5部分:第五章
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ストに視線を向けてきた。
「その方には全面的に協力して頂いている」
 ハーネストはそんな彼に対してこう答えてきた。
「それでは」
「うむ。お任せするようにな」
「わかりました。それでは」
 彼はそう言われてあらためて沙耶香に顔を向けた。
「お願いします」
「はい」 
 沙耶香はそれを受けてうっすらと笑って頷いた。その切れ長の奥二重の目と紅の小さな唇に笑みを漂わせた。
「ではこれは一つお受け取り致します」
 そう言って花びらのうち一つを手に取った。
「それだけで宜しいのですか」
「ええ」
 彼女はそれを不とはしなかった。
「この一枚の薔薇だけで。私は充分です」
 そしてその薔薇を手にした。それでここでの捜査は終わりであった。
「それだけで本当に宜しいのですか?」
 本部の部屋に入るとマクガイヤが彼女にそう尋ねてきた。
「はい」
 沙耶香はそれに対して静かに言葉を返した。
「これだけあれば。私の知りたいことは全てわかるでしょう」
「それが黒魔術と」
 ハーネストはここでこう言った。
「そういうことですね」
「おわかりですか」
「あ、いや」
 だが彼はその言葉に対して慌てて手を横に振った。
「これはあくまで予想でした」
「つまり推理ですか」
「推理というものでもないですね」
 照れ臭そうに笑って言う。
「予想に過ぎませんから。ですがその予想が当たったようで」
「そうですね」
「それは何よりです。ではそれに関してはお任せして宜しいですね」
「ここに空いている部屋が一つあれば。それでいいです」
「空いている部屋が」
「ありますか?何処でもいいですが」
「巡査部長」
 彼はそれを受けてマクガイヤに顔を向けてきた。
「あそこはどうかな」
「あそこですか」
 マクガイヤはそれを聞いて目で頷いた。
「いいんじゃないでしょうか。人通りも少ないですし」
「どんな部屋ですか」
「いえ、ここの建物の隅にある部屋でして」
 マクガイヤが彼女に説明した。
「もう百年以上使われていないのですよ。何なら掃除させますが」
「いえ、それはいいです」
「そうですか。ではすぐに使われるのですね」
「ええ、すぐにでも」
 それに応じた。こうして沙耶香はその部屋に一人篭ることになった。
「ここです」
 案内するマクガイヤが確かに建物の一室の前で立ち止まった。そして彼女にその部屋を手で指し示した。
「宜しいですね」
「はい」
 静かに頷く。そして扉に手をかける。
 手をかけたかかけないかのうちに扉が開いた。そして彼女は中に入った。
「それではお願いします」
「はい」
 部屋に入ると扉が閉められた。こうして彼女は暗闇の部屋の中に一人となった。
「さて」
 一人になるとまずは懐に手を入れ
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