第五章
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「と、なると」
「ああ、その服はな」
「結構凝った服ですから」
「普段のイザベルちゃんならとっくにだからな」
「着替えて」
着替え終えてだ。
「出て来てますから」
「もうな」
「それでまだですから」
だからだというのだ。
「となると」
「凝った服か」
「普段以上に」
「お待たせしました」
そんな話をしていているとだ、そのイザベラの声がして更衣室から出て来た。すると。
店長も他の店員達もだ、驚いて声をあげた。そのイザベラの服はというと。
白い薄い生地の縁を持つ長いベルベットのスカートのかなりの部分は黒字でそこに紅の薔薇と葉の模様が幾つも刺繍されている。靴は黒だ。だが。
そのスカートよりもだ、目立っているのは。
頭からすっぽりと被り上半身全体それこそ手首がかろうじて見える位にまで覆っている上着だ。顔だけが出ている。
顔が出ている部分の縁は白いレースで上着の縁もだ。そこはスカートと同じである。その縁や顔の部分以外は黄色で様々な花が飾られた模様になっている。
スカートはともかくその上着を見てだ、皆言ったのだ。
「何、その服」
「どういう服なんだ?」
「顔だけ出して」
「そんな服ははじめて見たけれど」
「サポテコ族の服でして」
イザベラは自分の部族の名前も出してだ、店長達に説明した。
「ウィピル=グランデといいます」
「ええと、ウィピル=グランデ」
「これまたはじめて聞く名前だな」
「また随分と名前も変わっていて」
「それも凄いな」
「最近私達もあまり着ません」
当のサポテコ族もというのだ。
「こうした服は。ですが」
「目立つ服」
「そう言うとか」
「その服か」
「成程な」
「はい、目立つ服といえば」
まさにという口調での言葉だった。
「やはりこれだと思いまして」
「それで持って来たんだな」
「そうです」
イザベラは店長ににこりと笑って言った。
「目立ちますね」
「かなりな」
相当にとだ、店長はイザベラに笑って答えた。
「いい感じでな」
「ではこれを着て」
「目立つか」
「そのつもりです」
「いいんじゃないか?ただな」
「ガソリンスタンドではですね」
「あまり着られないからな」
彼等が今いる店ではというのだ。そしてイザベラが将来独立して経営したいと思っている店もまたガソリンスタンドだからだ。
「それでな」
「あくまで目立ってですね」
「人の目を引く為のものだな」
「じゃあ看板か何かに書いて」
こうもだ、イザベラは言った。
「お客さん達にインパクトを与えて」
「それで着てもらうか」
客にとだ、店長も言った。
「そうしてもらうか」
「そのつもりです」
「いいアイディアだな」
店長は微笑んでだ、イザベ
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