暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十話 急転
[5/6]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
ブルク要塞から通信が入りました。反乱軍は要塞を放棄、撤退しているとの事です」
私が報告すると艦橋の彼方此方から歓声が上がった。だが司令長官は喜ばない、面白くなさそうな表情をしている。はて、イゼルローン要塞を無血で奪回したわけだけど……。
「閣下?」
声をかけると司令長官がジロリと私を見た。そして視線を逸らせた。
「ヤン・ウェンリーは逃げた。つまりこちらの作戦を見抜いたという事です。相変らず可愛げが無い」
なるほど、司令長官の不機嫌の理由はヤン提督か。逃げられれば厄介な事になると思っているらしい。周囲も歓声を上げるのを止めた。
「追撃を命じますか?」
ワルトハイム参謀長が問うと司令長官は首を横に振った。
「必要有りません。先ずはイゼルローン要塞の占拠を優先します。シュトックハウゼン提督を呼び出してください」
直ぐに通信が繋がりスクリーンにシュトックハウゼン提督の姿が現れた。
「ヤン・ウェンリーは要塞を放棄したようです。提督は直ちに要塞を接収してください」
『はっ』
シュトックハウゼン提督の顔面が朱に染まった。提督が要塞司令官の時に同盟軍に奪われた。その要塞を取り返す、想う事が有るのだろう。
「反乱軍は要塞内に爆発物を仕掛けた可能性が有ります。進駐してきた我々を一気に殺戮する……。念のため爆発物の専門家を送って安全を確認してください」
『はっ、直ちに』
提督の顔から朱が消えた。緊張している。
通信が終った後、ワルトハイム参謀長が司令長官に問い掛けてきた。
「爆発物は本当に有るのでしょうか?」
司令長官が視線を参謀長に向けた。
「いえ、疑うわけでは有りませんがイゼルローン要塞を爆破するなど考えるものなのかと思いまして……」
今度は苦笑を浮かべた。
「ヤン・ウェンリーは逃げた。彼は私が要塞の占拠では無く破壊を考えていると察知したのでしょう。彼が私と同じように要塞の破壊を考えたとしてもおかしくは有りません。それに成功すれば帝国軍に損害を与えられますし時間も稼げる。今の反乱軍にとってはどちらも貴重なものです」
司令長官の言葉に彼方此方で頷く姿が有った。それにしても何で爆破なんて事にまで気が付くのか、溜息が出そう。参謀長も溜息を吐きたそうな顔をしている。司令長官の部下って色々と勉強になるんだけど如何いうわけか自分が馬鹿になったような気がするわ。
二時間後、シュトックハウゼン提督からイゼルローン要塞に仕掛けられた爆発物を全て撤去したと報告が入った。ヴァレンシュタイン司令長官は帝都オーディンにイゼルローン要塞の奪還を報告、そしてシュトックハウゼン提督に二つの要塞の保持と回廊の確保を命じると残余の艦隊に進撃を命じた。
「これより同盟領へ進撃する。最終目標はバーラト星域、首都星ハイネセン。全艦発進せよ
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ