2部分:第二章
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ディーに襲い掛かるとは。何を考えているのか」
「魔物には人間の理屈は通用しないさ」
そんな彼にハーネストが言葉を述べる。
「彼等の世界と私達の世界は違うのだからね」
「そうなのですか」
「彼等のいるところは魔界だろう。魔界にボンド=ストリートはない」
「はあ」
「あそこにいる口の悪いおじさんもそれはわかっていると思うよ」
そう言ってニュー=ボンド=ストリートとの間にあるベンチに腰掛けている銅像の一つを手で指し示した。そこにはチャーチルがいた。
「まああの人も今は座っているだけだがね。魔物がいても何もできない」
「あの人だったら魔物に対して何をしたでしょうね」
「皮肉を山程ぶちまけたかもな」
チャーチルの性格と口の悪さを皮肉って言う。
「それから喧嘩だ。まあ元々軍人だし強いだろう」
「ですね」
彼は陸軍士官学校を出ている。なお出身は陸軍であったが後に海軍大臣にもなっている。ユニークと言えばユニークな経歴である。
「だが今は後世の我々に任せてくれている。思う存分やりたまえ、とな」
「そんなこと言うのなら隣にいるルーズベルトでもけしかければいいでしょうに」
「できたらいいがな。生憎彼も銅像だ」
「やれやれ」
「まあチャーチル卿には今は休んで頂きましょう」
それまで二人のジョークを黙って聞いていた沙耶香が口を開いた。
「私が仕事を引き受けましたから」
「ですね」
「それでその魔物が出た場所ですが」
「はい」
二人は沙耶香に顔を向けた。
「この辺りでした」
彼女はストリートのある場所に来た。そこはそのチャーチルとルーズベルトが座っている場所から少し離れた場所であった。
「ここで出て来ました」
「そこですか」
「はい。その時私はここを一人歩いていまして」
「それで」
「来たのです。やはり霧の中で」
「マザーグースの唄を歌いながらですね」
「曲はロンドン橋でした」
「今回はロンドン橋だったのですか」
「今回といいますと」
「いえね、実はその都度歌が変わっているのですよ」
ハーネストがそう説明をした。
「昨日もお話しましたが捜査官が何人も消えていまして」
「ええ」
「彼等が消える前に連絡した曲は。ロンドン橋だけではないのです」
「他にどんな曲が」
「オレンジとレモンの曲とか」
「他には」
「リング=リング=ローゼィーズとか。そういった曲ばかりです」
「そうですか」
「どれも可愛い曲ばかりですけれどね」
マクガイヤは困った顔をして言った。
「ところが実際の事件は。不気味なものばかりです」
「いえ、それはどうでしょうか」
だが沙耶香はそれには異議を呈した。
「といいますと」
「それは後で。ここは人目がありますし」
「おっと」
言われてすぐに気付い
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