2部分:第二章
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民族という言葉に反応してきた。イギリスでは平民と呼ばれる人々は所謂アングロ=サクソンやケルト系である。それに対して貴族はノルマン系である。ノルマン=コンクェスト以来のことである。
「世界史でよく言われておりますから」
「日本人は博識だ」
ハーネストはそれを聞いて素直に唸った。
「まさかこんなことまで知ってるとは思いませんでした」
「イギリスのことはね」
沙耶香はここで笑った。
「勉強しなければなりませんでしたから、職業柄」
「職業柄」
「はい。私は魔術師ですから」
「それは聞いていますが」
「ケルトのことも。知っておかなくてはなりませんでしたから」
「そうでしたか。ケルトのことも」
ケルトは魔術のルーツの一つである。北欧のルーン文字等と並ぶ欧州の魔術のもととなっているのである。かってはこれがキリスト教社会において異端とされてきたのである。
「それでイギリスのことも勉強しました。けれど学校の授業で習ったのも本当ですよ」
「高校でそこまで勉強するのですか」
「他にはローマや中国の歴代王朝のことも。同時に日本史も」
「多いですね」
「日本得意の詰め込み教育ですよ」
そう言って笑った。どうやら授業は減っていても今でも他の国から見れば多いらしい。
「おかげで勉強するのが大変で。学校は高校だけで一杯でした」
「はあ」
「それで大学には行かないで。魔術師になったのですよ」
「そうだったのですか」
「ええ」
そしてあらためて頷いた。
「イギリスにも。度々来ていました」
「ロンドンにも」
「何度か。ですから街のこともある程度知っています」
「ならこの道もわかりますね」
「はい」
マクガイヤの言葉に頷いた。
「前の仕事の時にも通りましたし」
「前の仕事」
「私の依頼人はスコットランド=ヤードだけではありませんから」
そう言いながら不思議な笑みを浮かべた。
「時には貴方達がお知りになられない方がいい方の依頼も引き受けますよ」
「今それについて御聞きすれば一介の警部がロンドンからいなくなるようですね」
ハーネストはそれを聞いて面白そうに苦笑いを浮かべた。
「怖い話だ」
「まあそれはお互い様ということで」
「守秘義務ということですな」
「ええ」
「それではお互いにそこには踏み入らないということで」
「はい」
そんな話をしながら現場までのドライブの時間を潰した。そして沙耶香の案内で昨日の現場に到着した。
そこはボンド=ストリートの一角であった。この街の中心部にある商店街でありブランド品や豪奢な品々を揃えた店が並んでいる。そこが昨夜の事故現場であった。
「魔物というのは無粋なものですね」
マクガイヤはそのボンド=ストリートを見回しながら言った。
「こんなところでレ
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