2部分:第二章
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く。
「おかげで今のロンドンは夜出歩く者がいなくなりました」
「毎日の様に誰かが消えていては。無理もないでしょう」
「信じられない話ですね」
「ですが本当の話です」
ハーネストの言葉は深刻さを増していく。
「このままではロンドンの夜が死んでしまいます」
「まるで。かって切り裂きジャックがいた時のようです」
「切り裂きジャックですか」
「はい。違うのは犠牲者の数です」
「それは。もう十人や二十人ではききません」
二人の声は深刻さを増してきた。
「犠牲者はもう何人なのか。わからない程です」
「そして手懸かりは霧とその中から聞こえるマザーグースを唄う子供の声。それだけなのです」
「ないに等しいですね」
「残念ながら」
それを否定できないのが口惜しかった。だが二人はそれを素直に認めた。
「ではまた明日」
「お休みなさい」
「ええ。ではこれで」
「はい」
こうして三人は別れた。沙耶香はそのままロンドンのとある高級ホテルに向かった。そこはかなり格式の高いホテルであり飛び入りのような形で、しかも一見が入られるようなホテルではなかったが彼女は入ることができた。そしてそこで宿をとった。
朝になった。彼女は絹のバスローブを羽織り天幕のベッドの中に休んでいた。朝が来たことを告げるモーニングコールがかかってきた。
「お早うございます」
「ええ、お早う」
それに応えながら起き上がる。起き上がるとバスローブを脱ぐ。その中から黒のブラとショーツを身に纏った美しい肢体が現われた。脚は長く、まるでギリシア彫刻の様な美しさを持っている。胸はそれ程大きくはないが非常によい形をしていた。それは下着の上からでもわかった。
その下着を脱ぐと浴室に向かった。そして身体を清める。それが終わると今まで着けていたものとは別のやはり黒の下着を身に着けガーターストッキングを履く。それから黒いスーツとズボンに身を包んだ。
着替え終わった時にベルが鳴った。それに出ると朝食の用意ができているというのだ。
「どうぞ」
彼女はホテルマンを招き入れた。するとよく手入れされた制服を着た若い男のホテルマンが入ってきた。その手にはゴートを運んでいる。
「朝食でございます」
「メニューは何かしら」
「はい」
彼はそれに従いゴートの上にある皿をテーブルの上に置いていった。そしてその銀の覆いを外した。
「こちらです」
そこにあったのはオートーミールとオムレツであった。そしてソーセージ。飲み物はミルクティーであった。よくあるイギリスの朝食であった。
「イングリッシュ=ブレイクファストね」
「はい」
彼は沙耶香の言葉に頷いた。
「残念ながら外国の方には今一つ評判が宜しくないですが」
そう言って残念そうに笑った。イギリスはお世辞にも料理が
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