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黒魔術師松本沙耶香 妖霧篇
2部分:第二章
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顔が悲劇を前にした英雄のそれに近いものとなった。
「女王陛下も心を痛めておられます」
「それは我が国にとって喜ばしいことではありません。一刻も早い解決をと思いまして」
「それで私を日本から呼んだと」
「そういうことになります」
 二人は静かにそう答えた。
「宜しいでしょうか」
「既に一度会っていますし」
 彼女はそれに対してまず返答するより先に先程の戦いのことについて言及した。
「私は誘いは断らない主義ですから」
「それでは」
「はい。快く受けさせて頂きます」
 こうして彼女はこの事件の解決にあたることとなった。二人の警官はそれを聞いてそれまで強張っていた顔をほんの少し緩やかなものにさせた。
「それは何よりです」
「是非共あの異形の者を倒して下さい」
「はい。ところで御聞きしたいことがあるのですが」
「何でしょうか」
「御二人の御名前は。何というのでしょう」
「あっ」 
 沙耶香に言われて二人はハッとした。
「言いませんでしたっけ」
「いえ、まだですが」
 沙耶香は笑いながらこう述べた。
「これから御一緒させて頂くのですし。是非御聞きしたいのですが」
「わかりました」
「失礼しました」
 二人はあらためて姿勢を整えた。それから言った。
「ウィリアム=ハーネストです」
「ジョナサン=マクガイアです」
 まずスーツの男が名乗り制服の男が名乗った。沙耶香はそれを聞き無言で頷いた。
「わかりました。それでは宜しくお願いします」
「はい」
 三人はそれぞれ握手をした。イギリス式の軽い握手であったがそれで充分であった。そして三人はすぐに話に入った。だが何分情報が少なく話をしようにも碌に情報もなかった。三人は夜遅いこともあり今回はすぐに別れることとなった。
「続きはまた明日ですね」
「はい」
 沙耶香はハーネストの言葉に頷いた。本部の前に立っていた。
「明日の朝ここで」
「お待ちしております」
 マクガイヤも頷いた。どうやら二人は今日はここに泊まるらしい。
「宿はどうされますか」
「何なら手配致しますが」
「いえ、それには及びません」
 だが沙耶香はそれをやんわりと断った。
「宿はもう見つけてあるので」
「左様ですか」
「それでは宜しいですね」
「はい」 
 彼女は頷いた。深く入り込んで来ないイギリス人気質にこの時は感謝した。
「丁度霧も晴れてきましたし。帰るにはいい頃でしょう」
「霧ですか」
 それを聞いた沙耶香の切れ長の目に光が宿った。
「彼はもう自分の世界に帰ったということでしょうか」
「今日のところは、ですね」
 マクガイヤはそれを聞いてこう言った。
「しかしまた出るでしょう。倒さない限り」
「でしょうね」
 それは沙耶香もわかっていた。一言こう答えて頷
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