九校戦編〈下〉
九校戦九日目(3)×織斑家集合と飛行魔法
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られたスケートリンクで滑走してますね」
「あれならバーストモード無しでも充分に力が発揮するわよね。歓声から絶句に変わったのか、十メートルの高度往復しなければならない他選手と水平に移動するだけで済む深雪ではもう競争どころではないものね」
五つ目のポイントを連取した所で、凍り付いた観客の声帯は徐々に融け始めたが正直遅いのでは?と俺らは思った。
「飛行魔法・・・・?」
誰かがそう呟くと選手でも呆然と上空を見上げていた。囁き声に等しい呟きは、離陸・着地のステップ音も消えていた事で静まり返った競技場に響いていた。スティックを振るう深雪の姿は、戦天使さながらに凛々しく優美であった。
「トーラス・シルバーの・・・・?」
「そんなバカな・・・・」
「先月発表されたばかりだぞ・・・・」
「だがあれは・・・・」
「紛れもなく、飛行魔法・・・・」
その場に居合わせた全員の目が、一人の例外もなく空を舞う少女へ向けられていた。湖の上空で繰り広げられた天女の舞。バランスを取る為に広げられた腕が、姿勢を変えるために振り出された足が、風と手を取り合って踊っているように見える。
空を飛ぶというのは、現代魔法の革新に不可能とすら言われていた奇跡の実演と美しい少女はこの上なく相応しい。年齢や性別に敵味方を超えて人々は陶然と空を舞う少女を見上げていたが、それを見ていた真由美と摩利らは今まで空を飛ぶ事は俺でしか出来ないだろうと思っていた。
「飛行魔法とは・・・・一真君の風術での飛行なら何度も見てきたけど」
「そうだな。だがあれはまさしく飛行魔法であり、現代魔法で使える事が実証された事だ。それにしてもこれを隠していたとは、相変わらず一真君には驚きだな」
現代魔法でも古式魔法やエレメンツでもないのに、感動という名の魔法に絡め取られていた。試合終了の合図が鳴った事で、深雪が地上へ戻ると魅了の呪文が解ける事はなかったようだ。ミラージ・バット予選、第一フィールド・第二試合は、見事深雪の大差という圧勝で決勝へと勝ち上がったのだった。
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