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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第122話 十二月十八日
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 しかし――
 ――彼女が事件を起こす? 自らの造物主の意図から離れて行動する事の出来なかった創造物の彼女が?

「わたしは、当時、自分の置かれていた状態に何の感慨も、悲哀すら持っていなかった」

 有希の言葉にかなりの違和感を覚える俺。しかし、そんな俺の反応を知っているはずの彼女は言葉を続けた。

 確か、有希の任務は――表向きは涼宮ハルヒの観察。しかし、それ以外にも名付けざられし者の監視も同時に行って居たらしい。
 ただ、当然のように彼女らにロボット三原則などと言う物は適用されては居らず、かなりの無理がある……説得力に欠ける行動も有ったらしい。

 例えば、暴走と称して朝倉涼子により、その名付けざられし者を襲わせ、絶対的なピンチの場面で有希に助けに入らせる、などと言う猿芝居を演じさせるとか、
 三年前から分かって居る暴走事件を敢えて起こさせる事にかなりの疑問が残る。
 初めから介入すればあっさり解決する事件をわざわざ、彼らの前で解決してみせたりとか、
 光の速さで飛んで来るレーザーを回避して見せるとか。

 ……光の速度を超えた瞬間、時間は逆転する。ついでに、人間がその光の速さに近い速度で接近して来る物体の前に居たとしたら、その人物の五体は無事に存在している訳はない。
 そもそも、瞳によりレーザーが発射された事を確認した瞬間、レーザーは目的を果たしている。其処から、レーザーが発射された事を脳で理解する時間は存在しない。此処から考えると、長門有希自身が事前に、その場面でレーザーが発射される事を知って居ない限り、レーザーによる攻撃など回避しようがないはずなのだが……。
 おそらく、これも猿芝居の一部なのでしょうね。事前に危険のない方法で回避する事が可能な事件を、わざわざ相手を危険に晒す事によって、更に自らの身も同時に危険に晒す事によって相手の信頼を得る事が出来る、と考えた。

 まぁ、俺なら、こんな怪しげな動きを繰り返すヤツは最初から信用しない。それで信用が得られると思い込んで居た段階で、情報を収集する事によって高度に進化した情報生命体である、と自称していたヤツラが、その自称通り高度に進化した存在などではない、と言う事が確信出来たでしょう。

 但し――

 その未来の記憶と言う物自体が、他の世界。涼宮ハルヒと名づけざられし者が接触した、と言う歴史から作り出された平行世界より訪れた、その名付けざれれし者本人によりもたらされた記憶。そんな物を信用すれば、妙な罠に陥れられる可能性も有りなのですが。

 思考でのみ非常に否定的な意見を回らせる俺。しかし、実際の言葉には出さず。何故ならば、俺がこの場でさっと考え付く程度の事は、有希も気付いていると思うから。その上でこの話を早い内にして置くべきだと彼女が判断したのな
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