その頃 U
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のうち一匹が棚の端にある小さい階段を上りはじめ、二段目で横に折れると、瓶に当たらないように棚を駆け抜けて、目的の精神回復特効薬にたどり着くと、それを持って、下に落とした。
それを見ていたデイドラが、あっ、と思う間もなく、下でスタンバっていたもう一匹がそれを華麗にキャッチした。
すると、そのアミラージはカウンターにいるアミラージに投げ渡した。
と思った時には、二つ目と三つ目の薬が棚にいるアミラージによって運び出され、カウンターのアミラージによって並べられていった。
その曲芸師顔負けの業を見せた三匹のアミラージにデイドラは何とも言えない眼差しを向けていた。
「相変わらず働き者だな、フィーネのアミラージ達は」
ノエルは今回初めて見たわけでもないだろうに、感心するように言う。
「ええ、私も含め団員はほとんど店頭に出られないから人手が足りなくなるのだけど、この子達のおかげで助かってるわ、色々と」
と、フィーネが言い終えると、どこに置いているのか、いつの間にかフィーネの隣にいるアミラージがトマホークを取り出す。
「ホッホッホッ、何か落ちておったように見えていたが気の所為のようじゃ」
すると、デイドラも気づかぬうちに、フィーネの足元でしゃがみ込んでいたカウンターの端で座っていたはずのアスクレピオスが立ち上がり、そそくさと所定の位置に戻っていく。
「静かになったと思っていたが、ただ気配を隠していただけか…………私も気取れなかった」
Lv3である自分のレーダーをかい潜る契約していない人間と同じ能力しか持たないはずの神にノエルは感嘆を通り越して少し恐怖を覚えた。
「大変ね、フィーネ」
「これは団長の宿命の一つみたいなものです」
「……そうだな」
自分よりも神に苦労をさせられている【ヘルメス・ファミリア】の団長を思い浮かべながら、ノエルは首肯した。
「はい、どうぞ」
「ああ」
ノエルは差し出された紙袋を受け取り、入れ代わりに代金を払った。
「ちょうどですね。またのご来店をお持ちしています」
「ああ、お互い頑張ろう」
「はい」
ノエルは、フィーネと団長としての別れの言葉を交わしてからデイドラを伴って店を出ていった。
「ホッホッホッ、隙ありじゃっ!」
「ひゃっあ、っーーーーーーーー、またですかっ!」
再び神とその子が戯れ始めたのを聞きながら。
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