その頃 U
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少女のことだとわかった。
「エリザベート」と名付けられたアミラージは容赦なく老爺にトマホークを投擲した。
しかし、老爺は、
「もっと息を合わせんと儂には当てられぬぞ、ホッホッホッ」
簡単に避けてしまう。
トマホークはというと、何かが突き刺さった跡の目立つ壁に突き立った。
「中睦まじいところ悪いが、薬を売ってくれないか」
そこで一段落したと見てか、ノエルはアマゾネスに声をかけた。
「誰が中睦まじいですって!冗談だとしても言わないでくださいっ!」
「ノエルではないか!もうしばらくは見ないと思っておったが、善行をしているといいことがあるものじゃっ」
「あなたがいつ善行をしたっていうのですっ、変態神!」
「おひょっ。今のは危なかったぞい」
恐ろしいほどに切れのいい裏拳を老爺はご老体とは思えないような軽やかなスウェーで避ける。
「アスクレピオス様もご健勝で何よりだ」
「ホッホッホッ、健康の秘訣はやはり女子じゃ」
「そんなこと聞いていない」
アマゾネスの攻撃範囲から退避して、カウンターの端にある丸椅子に腰掛けて言う医神アスクレピオスに素気なく答えて、ノエルは【アスクレピオス・ファミリア】の団長のアマゾネス――名をフィーネ・シーノロク――に歩み寄った。
「だけど、今回は早かったですね。ポーションを沢山使うような状況に陥ったのですか?」
息は少し上がっているものの、ほぼ調子を取り戻していたフィーネはカウンター越しにノエルと向き合った。
フィーネはアマゾネス特有の潤いのある褐色の肌と長く透き通るような黒髪を持つものの、下着同然の布面積の小さい民族的衣装は着ておらず、その艶美であろう身体はローブに覆い隠され、その隙間から除くものさえ長めのパラオで、肌を晒しているところは首元と手だけだ。
そして、口調や服装からわかるように真面目だとわかるが、それは顔立ちにも現れていて、鼻筋が通っていて顎の線がすらっとしているその顔には、大縁の眼鏡がかけられている。
「まあ、そんな鬼気迫るような状況ではなかった。ただ、デイドラの魔法の訓練をしたのだ」
「そうですか。魔法が発現したのですか、おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
自分よりも強いであろうアマゾネスに祝い言を送られてデイドラは恐縮して礼を返す。
「それでは、精神回復特効薬だけのお買い求めですか?」
「ああ、五つ頼む」
「わかりました。エリザベート、エリザベス、ジョセフィーヌ」
『『『キュッ』』』
フィーネの呼び声に今度はどこからともなく二匹のアミラージがフィーネの背後にある棚の最下段に、そして一匹がフィーネの横からカウンターに現れた。
二匹
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