その頃 U
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話になっているのだが、入るときに用心しなければならん」
ノエルは少しうんざりしたような表情を浮かべた。
「?」
「入ればわかる」
不思議に思っているような顔をして見上げてくるデイドラにノエルは言って、玄関のノブに手をかけて、引き開けた。
「っ!?」
その瞬間を見計らったように店の奥から高速回転する何かがノエルとデイドラの間をすり抜けて、道に突き立った。
ノエルはまるで動じていないが、反応しきれずに何かに髪を数本切られたデイドラは驚愕して、硬直していた。
驚きの抜け切らないデイドラは油の切れた歯車のようにギギッと顔を背後に向けると、見えたのは日光に刃を煌めかすトマホークだった。
「このっ変態神がっ」
その事実にさらに驚く暇もなく、デイドラは前方、店の奥から女性の怒りの篭った声が聞こえ、そちらに向き直った。
そのデイドラの横ではやれやれといった風に首を横に振るノエルの姿があった。
店の中は外見から受ける印象と違わず、綺麗でもなければ汚くない内装で、部屋を三分の二に分けるようにカウンターがあり――狭い方がカウンターのスペースだ――、カウンターの後ろにある棚には透明の瓶に入った色とりどりの薬品が並べられている。
そのカウンターの中にいる青いローブを纏ったアマゾネスの少女が怒声の主のようだった。
そのアマゾネスは狭いはずのカウンターの中で薬品を器用に避けるようにして、多彩な攻撃を放っていた――老爺に向かって。
しかし、驚くのはまだ早い。
老爺はアマゾネスの絶え間無い怒涛の攻撃を捌ききっているのだ。
「なんで、当たらないのですかっ!」
「ホッホッホッ、攻撃が単純過ぎるのじゃな」
何故か攻撃を加えているアマゾネスの少女が苦渋の表情を浮かべ、攻撃を受けている老爺が平然としている。
時にはデイドラの目にも霞ほど速い攻撃も繰り出されているのだが、
「おっ、今のは筋がよいぞ」
と、やはり何とでもないように老人とは思えない素早い動きで捌く。
「エリザベートっ!」
『キュッ』
少女の声に、一匹のアミラージがカウンターの上に現れた。
普通の兎という愛らしい見た目のアミラージの片手に握られているのは先程と同じトマホークだった。
「っ!」
突然のモンスターの出現にデイドラが咄嗟に腰に手を伸ばした。
が、勿論そこには短刀はない。
「大丈夫だ。あのアミラージはフィーネが調教している」
そのデイドラにノエルは淡々と答えた。
デイドラは、調教に関する知識を持っていて、ノエルの言うことをすぐに理解して、戦闘体勢を解いた。
「フィーネ」が誰かわからなかったが、すぐにアマゾネスの
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