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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
その頃 U
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率直に言葉にした。

 「それが所謂(いわゆる)魔力だ。我々魔法使いは詠唱を紡ぐことでそれを制御しながらも練り上げることで魔法を放つ。聞くだけなら簡単そうに聞こえるが、魔力の手綱を握りながら魔法を練り上げることはかなり困難だ。平行詠唱ができるものが少ないことでわかるだろう」

 と、ここで一拍置いてから、

 「しかし、幸いにお前の魔法の詠唱は超短文詠唱だ」

 と、続けた

 「超短文詠唱…………?」
 「そうだ。詠唱には長さによって大まかな分類がされていて、短いものからだと、超短文、短文、長文、超長文の四つがある。それで、ほとんどの詠唱は、短文もしくは長文に属しているもので、お前の魔法の超短文詠唱と超長文詠唱はかなり珍しい」

 ノエルは脳内では記憶から探り出した知識を自分が自力で修得した知識で補強しながら説明しているが、それを(おくび)にも出さず、淡々と進める。
 そのノエルの言葉にデイドラは真剣に耳を傾けている。
 このことに気付いているだけに、ノエルは五年前に手ほどきをしてくれた今はどこにいるのかもわからない先輩冒険者に、教わった知識をまるで自力で修得したように説明していることで、少しの罪悪感を覚えながらも説明に熱を込める。

 「お前の超短文詠唱は魔力の制御は度外視できるから、超長文詠唱や長文詠唱では必要な継続的な集中を求められないが、瞬間的な魔力調整の能力が必要とされる。詠唱が長ければ、その間に込める魔力の調整は簡単だが、超短文詠唱となると、一気に魔力を練り上げる必要があるから難しくなる」
 「調整しなくても、込めれるだけ込めればいいんじゃないのか?」

 先生に質問する生徒のような感じでデイドラは言った。

 「それは十分に力を持った者がすることだ。お前の場合魔法が発現したばかりで、魔力量は微々たるものだ。それに加え、お前の魔法には懸念事項がある」
 「?……懸念事項…………?」

 デイドラはノエルの言葉に首を傾げた。

 「ああ、お前の魔法に ・発動間代償(激痛)発生。 ・代償の多寡により火勢(かせい)変動。 というものがあった。これだけで大体の予測はつくが、実際に発動しなければわからないこともあるかもしれない」
 「わかった。なら、魔力を込めずに発動するばいいのか?」

 デイドラは得心が言ったように頷いてから、ノエルに訊いた。

 「ああ、取り敢えず、詠唱してみろ。詠唱するときは魔力を押さえ込むことを心掛けろ」

 ノエルの指示に再び頷いてから、

 「我が身を喰らえ(パーガトリウム・フレイム)

 と、詠唱した。

 「っ!」

 その瞬間デイドラの足元の地面が赤熱したと思うが早いか、炎柱が衝き立った。
 どんなことがあっても取り乱さぬよう
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