第二百十八話 太宰府入りその十二
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「一体」
「数が多いのう」
義久はまずはその武田、上杉軍の数を見た。
「合わせて二万は優に超える」
「はい、それだけはいますな」
「どうにも」
周りの重臣達も彼等を見て答える。
「武田、上杉共」
「それだけは」
「武田信玄、上杉謙信の名は聞いておる」
遠い薩摩にも彼等の名は届いていいる、まさに天下無双の名将だとだ。
「しかも二十四将、二十五将もおる」
「ですな、それぞれです」
「いますな」
「兵の数はこちらが上じゃ」
島津の方がというのだ。
「こちらは五万じゃ」
「相手は二万程度ですか」
「騎馬隊が多いですな」
「ここまで急いで来ました」
「主力は後ろにまだいますな」
「しかしじゃ」
それでもというのだ。
「その強さはわしも知っておるつもりじゃ。まして今の我等は」
「長く岩屋城を攻め」
「立花道雪の後詰とも戦いました」
重臣達も言う、ここで。
「損害が多いです」
「それもかなり」
「ですから最早」
「これ以上の戦は」
「岩屋城を攻め落としておったら戦えた」
その場合はというのだ。
「城を攻め落とした勢いでな」
「そこから一気に大友、龍造寺を降すつもりでしたし」
「その時は、ですな」
「一気に攻められましたが」
「今は」
「うむ、岩屋城は攻め落とせぬしじゃ」
義久は風林火山と毘沙門の二つの旗を見続けている、そこでは信玄と謙信の姿もそれぞれ見えており二十四将、二十五将達もそれぞれ名乗りを挙げている。
その彼等を見つつだ、さらに言うのだった。
「それにじゃ」
「ですな、このまま戦っても」
「勝てませぬな」
「岩屋城は諦めて、ですな」
「ここは」
「下がってじゃ」
そして、というのだ。
「あらためて戦じゃ」
「織田家と」
「そうされますか」
「必要とあらばな」
その時はというのだ。
「それも手じゃ。我等の狙いは何じゃ」
「はい、九州を全て手に入れることです」
「この地を」
重臣達はすぐに答えた。
「それが為にはですか」
「織田家ともですか」
「一戦を交える」
「そうされますか」
「天下は織田家のものでよい」
喜久はこのことはどうでもよかった、彼は天下については興味がなく織田家のものになろうとそれでいいのだ。
しかしだ、九州はなのだ。
「この地だけは我等のものとする」
「その為には」
「織田家ともですか」
「戦いますか」
「そうしますか」
「そうじゃ、しかし今は無理じゃ」
今の島津軍ではというのだ。
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