暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜共鳴の宴舞台〜
前を向くために
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プレイヤーにはあまりできない動き。

つばぜり合いをしながらの、もう一つの攻撃。

「ひ、だり!?」

主に使うのは体術。ならばそれだけで終わるはずもない。

「く……そ、がッ……」

右手を剣で止められていながらの左の手刀。

それが躱されると今度は右膝が飛んでくる。

ルインは紙一重で躱すがバランスを崩し、もう一度右手の拳が彼に向かう。

だが

彼は十分、役割を果たした。

彼がモンスターを抑えている間に、準備は完成した。

「……《通り魔の鉤爪(ファントム・キラータロン)》!」
「《空席へ贈る鎮魂歌(ベイケンシー・レクイエム)》!!」

ルインの左右から飛び出した二人が、己が技を狩人に叩きつける。

フォルテが棍を、ヒナが爪を構えながら、狩人の前に歩み出る。

吹き飛んだ狩人を前に、フォルテは恐れなどまるで感じないように言い放った。

「申し訳ありませんが、僕もそろそろ前を向かなくてはいけないんですよ。だから僕は、あなたを砕きます」

真正面から悪夢と対峙して、その上で前へと足を進める。

「《濁流船医》フォルテです。土も瓦礫も飲み込んで、あなたを砕き割りに行きますので、ご容赦を」

火蓋はすでに落とされた。

海上の戦士たちが、命を狩りに暴れ始める。
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