前を向くために
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苦しみは、知っている。
進まないと、自分は自分でいられなくなるのも、知っているから。
深呼吸をして、もう一度扉を見据える。
ゆっくりと、だが確かに足を前に進める。
「フォルテ……」
「行きましょう」
心配そうな顔をしていたメンバーも、その言葉を聞いて、気を引き締める。
向かうだけでは意味がない。
勝てなくてもいい。負けなければ。
生きて帰ってくれさえすれば、それは勝ちに繋がる。
「うし、じゃあ《シンフォニック・B・シーヴス》海賊団、侵略開始!」
?????????応!!
凛と鳴り響く声を響かせて、彼等は前へと足を運んだ。
????????????????????????????????????
彼等は少人数でこそあるが、攻略組でも屈指の力を持つ有名なギルドである。
事実、今までのボス攻略にも大きな貢献をしている。
だが、この五人だけでボス攻略に挑むのは、言うまでもなく初めてであった。
「……来たな」
フィーネが呟くと同時に、ボスが姿を現した。
その風貌は、一言で表すならば『魚人』だろうか。
トカゲのような頭に、鱗で覆われている胴体。その間からにょきりと生えた筋骨隆々の太い腕にはモリが握られている。
下は黒い布をただ巻きつけただけの服に、ヒレが付いている足。そして後ろには尻尾も生えている。
魚人……?トカゲ人……?とりあえず亜人型である。
名前は?????『The waterside hunter』
直訳で、『水辺の狩人』と言ったところだろうか。
「……キモい」
「ヒナ、言っちゃいけない」
「……でもルイン……あいつキモいよ?」
「……うん」
ヒナがちょっと引いていた。
なぜだろう。狩人さんちょっと悲しそうに見える。
気のせいだよねそうだねそうしよう。
軽く「くぅぅ……」みたいな声も聞こえなくもないけどきっと威嚇だよね。
体はムキムキなのに肩を落としてたりしてるけどきっと違うよね。(しつこい)
「来るぞ!」
誰かが叫び、狩人が駆ける。涙目で。
他のボスと比べるとそれほど早くはないが、中層のスピード特化型のプレイヤーと同等くらいだろうか。
実際、避けることができたのは同じくスピード型のフィーネとリークだけだった。
だからと言って、黙って攻撃を食らう訳でもないが。
「なかなか……パワーあるじゃねぇか」
残った三人の真ん中、ルインが狩人の拳を剣の腹で受け止めていた。
だが、これで終わるほどボスモンスターは甘くない。
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