27部分:第二十七章
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たより少ないのね」
沙耶香はそれを見ても一向に表情を変えはしない。涼しい様子であった。
「見たところだけれど」
「大切なコレクションだからね」
人影は楽しそうに笑って言うのだった。
「選ぶんだよ」
「そう。選りすぐりなのね」
「そうなんだ。だから言ってるじゃない」
楽しげに仮面を眺めながら述べる。如何にも自慢げであった。
「完全に清らかかそうでないか。どちらかしか僕は手に入れないから」
「そうだったわね。思い出したわ」
「わかってくれたら。さあ」
人影はすっと左に動いた。そうして。
「行くよ」
フードが掻き消えてそこから道化師が姿を現わした。あの笑った仮面が再び沙耶香を見据えてきたのである。
道化師は姿を現わすと共に消えた。まるで夜の闇に消えるかの様に。
「今度は別の消え方なのね」
「そうだよ」
沙耶香はその場所から一歩も動きはしない。そこから道化師の声を聞くだけである。
「同じことをしても面白くないじゃない」
「そうね。こちらもそうしてもらわないと楽しくはないわ」
相変わらず動かずに述べるのだった。
「さて。どう隠れたのかしら」
「それは内緒だよ」
楽しげな含み笑いの声が闇の中に響く。
「悪いけれどね」
「そう。じゃあいいわ」
それ以上聞こうとはしなかった。沙耶香としてもそれならそれでやり方があるからであろうか。
「それなら私は」
「何をするつもりかな」
「一つ言っておくわ」
その両腕に紅い稲妻を宿らせながら言うのだった。
「貴方のコレクションには一切手をつけないから」
「そう。紳士的なんだね」
「生憎だけれど私は女だから」
紳士という言葉はこれを根拠に笑って否定した。
「けれど。それでも好きでないやり方があるのよ。それは」
「奇麗なものを壊すことかな」
「そうよ。確かにこの顔達は美しいわ」
仮面達を横目で見ながら述べる。そこにある仮面はどれも確かに美しい。死相になってしまっているがそれでも美貌はそのまま残っていたのだ。
「壊すには。あまりに忍びないわ」
「嬉しいよ。そう言ってもらえると」
道化師は姿を消したまま述べる。
「じゃあ。どうしてあげようかな」
「そうね。どう来るのかわからないけれど」
稲妻を宿らせたまま両腕を上に掲げた。そうして。
「とりあえず。これをあげるわ」
稲妻を一気に上に放つ。紅い光が天を包んだ。
「んっ!?」
「姿が見えないのには理由があるわよね」
沙耶香は上を見てはいなかった。正面を見たまま上に稲妻を放っている。そのままで笑っているのであった。
「一つは完全に周囲に同化する」
昨日に教会で戦った時でのあれである。あの時道化師はカメレオンの様に周囲の色に完全に同化していた。それで姿を見せなかったの
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