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ソードアート・オンライン〜共鳴の宴舞台〜
SAO:アインクラッド〜共鳴しあう絆の中で〜
森の中で
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えなさそうですけどね」

フォルテの耳。ルインはそのことを褒めていた。

フォルテの耳に何があるのか?説明しよう。

まず初めに、彼はとてつもなく耳がいい。これが一つ目の才能だが、それだけならまだ普通の領域だ。

だが彼は偶然にも、フクロウのような形の耳の穴をしていた。

左右の耳で形が違うのだ。それによって、どの方向から聞こえる音なのかがはっきりわかる。

生まれ持ったこの二つの才能は、彼の耳を強くさせた。

どんなに小さな音でも、どんなに遠くの音でも、拾うことのできる『聴覚』

どの方向からの音なのか、瞬時に知ることのできる『才能』

その二つを合わせて、その音がどのくらいの距離の、どの方向の、なんの音なのか、判断することのできる『技術』

本来このゲームの中には、そんな才能は反映されない。だが、彼の技術だけは このゲームの中でも残っていた。

簡単に言えば、彼は木を叩いて出した音が跳ね返ってきたのを聞いて、周囲に何があるのか、おぼろげにだが把握したのだ。

「説明長い」
「どうしました? ルイン」
「あ、いや、なんでもない」
「? あ、いましたよ」

動きはゆっくりと、声は小さく。

これ以上ないほど慎重に、彼らは戦闘体制へと移行する。

「どっちがやる? 俺の大剣もお前の片手棍も、狩りには向いてないぞ」
「ルインの突進技ならなんとかなるかもしれません。最善とは言えませんが、今はこれしかないでしょう」
「りょーかい」

二人の間から音が消える。

出るはずがないのに、全身から汗が吹き出るような錯覚を受けるほど、二人は緊張していた。

その緊張の糸が千切れるのは、突然だった。

「フォルテー! 加勢しにきたぞー!」
「「!?」」

大声で、我らがリーダーリークさんが後ろから抱きついてきた。今度はがっちりと。

その反動で、フォルテは前に倒れこんだ。ちょうど、ラグー・ラビットの目の前に。

つまり……

「あ…… 逃げちゃいました……」
「ちょ、何やってんすか!? リークさん!」
「えへへー 今度は離さないぞー」
「なに? この人酔ってない!? SAOの中だと酔わないんじゃねぇのかよ! つかうちのギルドそんなに余裕ないぞ!? そしてそこ! フォルテ! にやけてんぞ!」
「え? に、にやけてました?」
「うん! そりゃもうバッチリと!」

一気に緩いムードになったが、超レアモンスターを逃してしまったのは惜しい。

彼らもそう思ったらしく、もう一度試してみるようだ。


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