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幼馴染みがTSしたので欲情しないようにするのが大変なんだが
幼馴染がTSしたので欲情しないようにするのが大変なんだが
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奴は『テオドラ』って聞けば分かると思う。うん。思いつかないなら『ユスティニアヌス』もついでにくっつければ分かるだろ。
葵の話は続く。
「だから逃げて……こんどは、兄さんの所に行ったんだ……」
葵の兄は、やはり礼儀正しい秀才だ。俺達より二歳年上で、この間海外の難関大に受かったとかなんだとかそんな話を聞いた。今は家を出て独り暮らしだ。
だが、次に葵から語られたその姿は、秀才の『闇』であった。
「最初は、普通の兄さんだったんだ。『どうしたんだ、早く入れ!』って心配してくれて……でも兄さん、何か、途中でおかしくなってって……麻薬かなんか、やってたみたいで……それで、混乱してたんだと思いたいんだけど……顔色を変えて、襲い掛かって来たんだ……」
襲い掛かってきた。
それはつまり、『性的に』ということだろう。兄が弟……いや、妹か……? ともかくきょうだいに性的に暴行しようとするというのは何というか異質極まりないが……おかしくなっていた、というなら、あり得ないことではないだろう。服が破れていたのはそのせいか。
というか、先ほど彼女が俺の誘いに微妙に悪い反応を返したのはそのせいか。俺ももしかしたら……と思ってしまったのかもしれない。
いや、残念ながら中身が男だってわかってんのに欲情は出来ないのだがな。
「それで……怖かったけど、最後にセージの所に……」
「なるほど、な……」
ううむ……。
にわかには色々信じがたい。というかそもそも何故TSしたのかがいまだに良く分かってないせいで、余計面倒臭い。
「……兎に角、今日はここに居る。もう、何か、疲れた」
「おいおいおい」
いやちょっと待て。俺が何かする、という可能性は考えなかったのかこいつ。
「だって……セージになら、何かされてもいいかな、と思っちゃって」
あぶねぇぞその思考。
こいつ本当に女だったら確実に悪い男にだまされてた。いや、俺は自分が良い男だとは思ってないが。取り敢えず欲情だけはする気がしないから問題ない。
「……勝手にしてろ」
俺はそう言ってそっぽを向いた。なんだか、今の葵と向き合っていると、時々気恥ずかしくなってくる。
「……うん」
そう、か細い相槌が聞こえてきた。
しばらくすると、静かな寝息が聞こえ始めた。見れば、ベッドの上から俺の枕を引きずりおろして、それを抱いて床で寝ていた。
悪い、とは思いながらも、その身体を抱き上げる。
「ッ―――」
思わず、声を上げるところだった。
軽い。とてつもなく。柔らかい。信じられないほどに。温かい。今まで感じたことが無いほどに。
俺の心臓が、早鐘を打ち始めた。『彼女』の安らかな、安心しきった寝顔を
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