暁 〜小説投稿サイト〜
英雄は誰がために立つ
Life12 暗躍を照らす光
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《あんな化け物》と交戦しあうなど無益にも程があった。
 さらには、今回の作戦の戦力増強とはズバリ、キャスターの宝具を完成させるために必要な核である一流の魔術回路を持つ魔術師を手に入れるためのモノな為、キャスター自身が消されては元も子もないので言い訳も十分に立つのだ。

 (そもそも、あんな化け物とヤりあうと言うのならそれこそ完成した宝具が必要だし、そうでなきゃ僕なんて一撃で霊核を潰されて、確実に魔力の塵芥に成るだろうからね)

 冷静な思考で判断するキャスターはこの場から去ろうと、足元に魔法陣を出現させる。
 大体このキャスターからすれば極論、この作戦自体の成否など如何でもいいのだ。
 キャスター自身は契約に従事していればいいのだが、レヴェルは期限内までに契約を成功させなければ非常に重いペナルティを課せられてしまう。
 つまり今回の事で焦っているのはキャスターでは無く、レヴェルの方だと言う事だ。

 (勿論、僕だって宝具の完成が早く済むのであればそれに越したことはない。けれど、藤村士郎(あの魔術師)が一流の魔術回路を有した魔術師など判明していないのに無理をする必要なんて無い)

 魔術師とは、基本的に全てにおいて自己中心であり効率性――――つまり、合理的思考に基づく人種である。
 その為これ以上非効率的の上、デメリットしかない戦場に何時までも留まる必要はないと判断しきったキャスターは、英霊の誇り以前に魔術師性を優先して何の躊躇も執着も見せず素直に転移魔法陣にて去って行った。
 後に残ったのは土くれや瓦礫の山だけだった。


 −Interlude−


 堕天使領を襲撃した機械人形の軍勢は、全て沈黙して残る堕天使達を妨げるのはKraだけだった。
 そして当の本人は、アザゼルを筆頭にしている神の子を見張る者(グリゴリ)たちに拍手を送っていた。

 「大したものだ。試作段階とはいえ、堕天使や天使の光力の攻撃を半減させる機械人形たちを此処まで速くスクラップに変えるとはな」
 「それは褒めてんのか皮肉なのかどっちだ?こっちの一斉攻撃もものともせずに余裕しゃくしゃくで全部躱したやがって・・・!」

 Kraから少し距離が離れている正面から、アザゼルが吐き捨てる様に問う。
 確かに機械人形たちは悉く機械クズの瓦礫に変えた様だが、この場に居る堕天使達の約5分の一ほどは苦しみに悶える様に蹲っていた。
 その堕天使達は全員、Kraの拳打をたった一発喰らってこのありさまだった。
 しかもその中の1人は朱乃の実父のバラキエルだ。
 彼の場合は、隙を突かれて喰らいそうになったアザゼルを庇ったための結果なのだが。
 しかし流石は神の子を見張る者(グリゴリ)の幹部の1人である。
 苦しみには悶えながら片膝はついても、
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