序章 May―踊り始める現在
Boy meets boys/How does she think about?
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体に受けながらさっきの試合を思い返していた。
女性に媚びらない態度、強い意志を持った瞳。それは織斑 一夏も同じだった。
ただ彼が一夏と違うのは戦う前に言った言葉
『まぁ経験の差だな。……良い意味でも悪い意味でも』
(きっとあの言葉に彼の強さと弱さが含まれているのですね…)
あの時の彼の言葉は重く、眼差しは強く、そして表情は悲しみが見えていた。
「黒川、優……」
その名前を口にしてみる。
不思議と、胸が熱くなるのがわかる。
どうしようもなくドキドキして、何かが込み上げてくる。
「…………………」
熱いのに甘く、切ないのに嬉しい。
――なんだろう、この気持ちは。
意識すると途端に胸をいっぱいにする、この感情の奔流は。
――知りたい。
その正体を。その先にあるものを。
「…………………」
浴室は私の気持ちを表すように水が満たされていった。
◇
(一夏side―屋上)
「どういうことだよ。なんで優がここにいるんだよ」
授業の後、砂を被ったセシリアと鈴を待っている間に俺は優に問い詰めていた。
「ゆーりん、これ食べさせてー」
「見ればわかるだろ。俺もISが動かせるから」
「なんで19のお前が俺らと同じクラスなんだよ」
「ゆーりん、これも食べさせてー」
「はいはい。いやー仕事が多くてな。出席日数が足らないだわ。
つまり留年生」
俺の気持ちの露知らず優は呑気な声でのほほんさんにご飯をあげていた。
「優が国際IS委員会にいるなんて知らなかったぞ」
「ゆーりん、これもーこれもー」
「はい、あーん。まぁあれだ。大人の事情ってやつだ」
「ゆーりん、ゆーりん」
「…………のほほんさん……」
溜め息をつきながらのほほんさんを見る。
人が大事な話をしているのに話の腰を折らないでほしい。
けど、なんか色々毒されて怒る気が無くなった。
「なんで俺に教えてくれなかったんだよ」
これだけはいくら毒されようが邪魔されようが聞く。
俺は家族同然に思ってたのに……。
その言葉に優は箸を置いて真っ直ぐ俺を見てくれた。
「対反社会勢力の人間の情報が公開されたらその本人や家族が危ないだろ?
俺はお前がまた危険な目にあうために委員会にいるわけじゃない。
お前を含めて多くの人を守るために委員会にいるんだ」
「優………」
前に俺が亡国機業に捕らえられたこと気にしてたんだな。
そうだよな。あの時、優がいなかったら俺も千冬姉も生きてるかどうか……。
「じゃあ、この話は終わりということで。篠ノ之さんも何か言いたそうだし」
「あっ。悪いな箒」
元々、屋上で食べようと話していたのだが
優の登場に聞いときゃならないことが出来てしまったので待
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