暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
狂宴
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
らは一歩も出さないからな」

 ベゼドラが大股に近寄ってきて、首輪近くの鎖を乱暴に引き上げる。
 苦しげな顔をしているのは、これもクロスツェルの影響なのか。

「クロスツェルの体が朽ちるまでは縛り付けてやる。実体の封印を解いたら今度こそ」
「殺す、か?」

 鼻で笑いながら見上げれば。
 ベゼドラの顔が、怒りとも悲しみとも取れる形に歪んだ。

「っんぐ……!」

 ベゼドラの左手に口を押さえられ、二人の体が床に転がる。
 性急に脚を開かれ。
 長衣の裾を持ち上げた男が、準備もなく強引に内側へと入った。
 乾いていた場所が強くこすられ、痛みと圧迫感で背中が反る。
 ベゼドラにも、多少なり痛みがあるのか。
 苦しそうに歯を噛んで、低く呻いた。

 二、三回の抜き差しで濡れた音が聞こえ始める。
 冷静に聴き分けている自分が可笑しくて。
 ベゼドラの手のひらに押さえられている唇が、少しだけ弧を描いた。



 せめてもの救いは、クロスツェルの死に方が物理的じゃなかったことか。
 ふとした拍子に、割れたガラス瓶で突き刺した感触を思い出しては。
 あいつがそんな怪我を二度と負わないようにって、思ってたから。
 どっちにしてもバカなんだけどな。

 バカだから。
 案外まだ、どうにか取り戻せるんじゃないか……、なんて……。
 そんな風に思うのは……甘い、かなあ……。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ