21部分:第二十一章
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マインドコントロールを含ませていた。これもまた魔術の一つである。
「それだけでいいのよ」
「そうだったのですか」
「罪は。その都度清めればいいだけなのよ」
あえて背徳を勧める。それもまた愉しみであるかのように。
「だから何度でも」
「何度でも」
「味わうといいわ。それじゃあ」
「あっ」
沙耶香が出ようとすると身体を前にやってその手を掴んできた。手を掴まれた沙耶香は含み笑いを浮かべて彼女に顔を向けて問うた。
「何かしら」
「もう。帰られるのですか?」
「そうよ」
声にも含み笑いを入れて述べる。
「それが何か?」
「まだ。私はまだ」
沙耶香の方を見て言う。
「このままでは」
「もう満足した筈だけれど」
「これで終わりなんて」
「終わりじゃないわ」
引き止めようとするシスターに対して言うのだった。
「終わりじゃないですか」
「今度は貴女の番だから」
「私の?」
「ええ。貴女が罪を教えるの」
悪徳を唆す。これもまた悪魔めいた笑みで行うのだった。
「貴女がね。今度からは」
「私がですか」
「それはいいわね」
またそれを勧める。
「貴女がね」
「わかりました」
とろんとした目のまま答える。
「それじゃあ今度は私が」
「そうよ、貴女が」
沙耶香は自分の言葉をシスターの心に刻み込む。それは薔薇の様に甘く、蛇の毒を持つ言葉であった。その言葉をシスターの心に含ませたのであった。
「罪を教えていくの。いいわね」
「わかりました」
うっとりとした声で答える。
「今度からは私が」
「御願いね」
そこまで言って教会から姿を消した。教会を出るとまた青い渦で場所を移った。向かうのはニューヨークの中だった。そこでまた老婆に会うのであった。
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