1〜2期/啓編
K19 招待状
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この行為に下心はないからな? てかおれら、ちっちゃい時から割とよくこういうことしてる。
“お前はオトコなんだから、姉ちゃんを守ってやるんだぞ”
……失せろ。おれの黒歴史。
とか考えてたら、スマホが鳴った。非通知? おれに電話してくんのなんて、家族以外にいないのに。
「もしもし?」
《啓君か》
げ!? この声って司令じゃん。何でおれのアドレス知ってんだよ! ああ、そういや元陸軍の諜報機関でしたねこんちくしょう!
《通信機にかけても出ないので強硬手段を取らせてもらった。――翼から大体の話は聞いた。本当に君が一人で装者としてやっていくというなら、命令だ。ノイズの出現パターンを検知した。君にその処理に当たってもらいたい》
おれだけで、ノイズと、戦う。
立花啓の覚悟が試されてる。
ここで響ちゃんか風鳴サンに頼ったらアウト。できないって答えてもアウト。外堀から攻めてきやがった。
シンフォギアのペンダントは持ってる。今から逆走スタートしてってノイズと戦える条件は揃ってる。
「――分かりました。やります」
《……すまん》
「いえ。かけてくれたのがおれでよかったっす。これで響ちゃんに連絡してきたら、おれ、その場でケータイ取り上げてへし折ってました」
ああ。こういう部分を風鳴サンは「閉じ込めてる」って言ったのか。
スマホを切って響ちゃんを見やれば、響ちゃんはウサギみたいに不安そうな顔しておれを見上げてきた。
「啓、今の電話、もしかして師匠から……」
「うん。任務。そういうわけだから、ごめん。ライブは響ちゃんだけで楽しんできて」
「わたしも一緒に…!」
「だーめ。せっかくのチケット無駄になるぞ。あ、の! 風鳴翼が直々にくれたチケットが」
「で、でも」
「『でも』も『だって』も今日はなし。――ワガママだって分かってる。けどさ、おれ、響ちゃんに最後まで楽しんでほしいんだ。あの会場で」
「啓――」
「あそこが響ちゃんにとっても風鳴サンにとっても辛い場所だって分かってる。だからこそ。おれは、響ちゃんにあそこから脱け出してほしい。超えろなんて言わないから、辛い所に留まっててほしくない」
繋いでた手をほどく。
おかしいな。まだ春なのに、響ちゃんの手を離しただけでこんなに寒いよ。
「行ってらっしゃい」
響ちゃんが歩き出す。何歩か行ってはおれをふり返り、また何歩か行ってはおれをふり返り。ああくそ、嬉しすぎて出発できねえじゃん。
やっと響ちゃんが人混みに紛れて見えなくなってから、おれは回れ右して走り出した。
プリトウェンのギアを纏ってから、サーフボードに似せて編み上げたバリアに乗って、陸上サーフィンで現場へ向かった
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