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歌集「春雪花」
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 朝焼けを

   眺め蜩

    鳴きにける

 想いし時節も

   変わりたりけり



 うっすらと朝が明け始めた時分、遠くの山波から蜩の鳴き声が聞こえてきた…。

 どんなに一途に想っていても、時節は止まることなく…緩やかに変化してゆくものだ。

 彼との距離は…ただ、時節と共に広がりゆくだけで…。



 会えぬ間は

  時ぞ隔たり

   分かちける

 うつろう四季に

    溜め息ぞつく



 彼がいなくなって随分と経つ…。距離だけでなく、時間そのものが彼との縁を希薄にし、いずれは断たれることだろう…。

 近くにいる訳ではないのだ…縁など、所詮はそんなもの…。

 移り行く四季を眺めては、私は一人寂しく…溜め息を吐くだけ…。
 白い雪が…刺すような陽射しに変わったこの場所で…。




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