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黒魔術師松本沙耶香 仮面篇
15部分:第十五章
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ら。といっても」
「そうさ、答えは決まっているよ」
 道化師も言う。そうしてさらに激しい攻撃を仕掛けるのであった。
「要はさ、全部狙えばいいんだよ」
 これが彼の答えであった。
「そうだよね。いる分だけね」
「そうよ」
 沙耶香自身もその言葉には頷く。
「その通りよ。けれど」
「それでもまだ余裕があるんだね」
「ええ。だって」
 闇の中で笑う。楽しげな笑みで。
「当たる筈がないから」
「それはどういうことかな」
「言ったままよ」
 道化師のナイフがここで襲う。しかし全てすり抜けてしまう。全員の沙耶香に当たったというのにその船員の沙耶香の身体をすり抜けてしまったのだ。
「んっ!?」
「これでわかったかしら」
 別の方から声がした。
「何故私に当たらないのか」
「おかしいけれど。トリックがあるね」
「ええ」
 また別の方から声がする。
「そうよ。さて、問題よ」
「問題?」
「私は何処にいるのかしら」
 道化師に対して問うた。
「果たして本当の私は。わかるかしら」
「そこにいるお姉さんは全部偽者」
 そうとしか思えなかった。なぜなら全てナイフをすり抜けたからだ。道化師は落ちるナイフとナイフを踏み台にして宙を舞う。時には木の葉を投げてそれも踏み台にしていた。この世の者とは到底思えない不可思議な動きを見せていた。

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