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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第484話】
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未来自身、ヒルトの倒れている姿を見て平気ではいられなかった、だがそれでも涙は流さない――泣いても事態は解決しないという事を知っているからだ。

 だが、簪は未来ほどメンタルが強い訳じゃない、前向きに考えようと思っていても、後ろ向きの自分の心がいつも邪魔をする。

 戦意喪失した簪に狙いを定めたのか、紅い機体はジャガーノートをその場に捨て、両腕の可変ブレードの三枚刃を大きく開いた。


「簪ちゃんッ!!」


 楯無の声が届かないほど虚ろな眼差しがただただ地面へと向けられていた。

 頭を掴まれ、痛みで意識が戻った俺は小さく呟く。


「か、ん……ざし……」



 声を振り絞るも、思ってた以上に声が出なかった――その間も紅い機体は簪へと近付き、刃を掲げた。

 そして、その凶刃が襲ったその瞬間、合間に滑り込む様に庇った者がいた。


「……!! 楯無さんッ!?」


 未来の言葉に、目を見開く俺――がっしりと頭を掴まれ、視界は襲撃者の巨大な手のひらしか見えない。

 痛みが全身を駆け回る、痛がってる場合じゃない――楯無さんの身に何かあったんだ、嫌な予感しか過らなかった。


「おねえ……ちゃん……?」


 虚ろな眼差しに光が戻る、庇うように自分わ抱き締めて凶刃から守ってくれたのは自身の姉、更識楯無だった。

 傷口は深くないものの、切り傷から流れ出る血は未だに止まらなかった。


「簪、ちゃん……無事?」


 にこっと笑う楯無に、簪は何度も何度も頷く、涙がアリーナの土を濡らしていく。


「……よかった。 ……また、ヒルトくんに……怒られちゃう、かな……」

「お姉ちゃん! 何で……」


 何で自分を庇ったのかわからなかった。

 だが、向けられた眼差しは妹を想う優しい姉の眼差しだった。


「あは……、何でって……たった二人だけの……姉妹、よ……? 助けるのは、当たり前だし……簪ちゃんを助けるのに、理由はいらない……でしょ?」

「おねえ……ちゃ、ん……っ!」


 止めどなく溢れ出る簪の涙を拭う楯無――未だアドレナリンが大量に分泌されていて、痛みは緩和しているが未来から見ると酷く出血している様に見えた。

 反撃したい――だけど、今反撃したらISを纏ってる人はともかく、ヒルトの命は確実に奪われるのは明白だった。

 自身の力の無さを呪い、そして未来は願う。

 ヒルトを助ける力が欲しい――と。

 未来のそんな願いに、天照は僅かに光を放つ、それはほんの一瞬で同乗者である未来ですら気付かないほどの白亜の光だった――。

 簪は姉である楯無の言葉に涙が止まらない、心の中で残っていたわだかまりがまるで雪解け水のように
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