1〜2期/啓編
K15 隠し事なんてなかったのに
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ことならここの人たちに聞いたわ。今さら聞くことなんてないと思うけど」
「響ちゃんのこと…も?」
さらに眉間のシワを深くした未来ちゃん。……うわ。地雷踏んだ。
でも、これだけは言わないと。
「〜〜っ未来ちゃん! おれのことはキライでも信じなくてもいいから。だからせめて響ちゃんの話だけは聞いてあげて。響ちゃん、ずっと悩んで」
「聞きたくない」
「未来ちゃん!」
「どうせまた嘘つくんでしょっ。もうヤダ。姉弟揃ってサイテーだよ…わたしが毎日どんな気持ちで待ってたと思ってるの…」
「――そうかよ」
「どうせまた嘘」ね。だったらこっちも手加減しねえぞ。
「奪うからな」
「え?」
未来ちゃんが座るソファーの前のテーブルに手を突いて、至近距離で未来ちゃんと顔を向き合わせた。
「未来ちゃんから響ちゃん、奪ってやるからな。おれと響ちゃんが血が繋がってないの、未来ちゃんは知ってるだろ」
未来ちゃんは目を瞠っておれをまじまじと見上げてきた。
「どうした? 『どうせまた嘘』なんだろ? おれらの言葉は。気にすることなんかねえじゃんか」
「啓くん…あなた…!」
胸、痛い。おれだって好きでやってんじゃねえよ。未来ちゃん、嫌いじゃねえもん。脅したくなんかねえ。けどこんくらい釘刺しとかないと、未来ちゃんが響ちゃんに何言うか分かったもんじゃねえんだから。
「んじゃこれでサイテー姉弟の片割れはもう行くわ。オヤスミ。よい夜を」
できるだけ不敵に見えるように笑いを作ってから、未来ちゃんに背を向けて部屋を出た。
リディアン音楽院のある高台を降りて公園地帯を歩き始めたとこで、やっと気が重くなってきた。
……未来ちゃんがあれで響ちゃんと仲直りできるか、おれの言葉なんざ無視するか。
はあ。何が悲しゅうて一番好きな女の子の親友を脅さなきゃなんねえんだか。そもそも脅す必要あったのか?
だめだ。考え始めたら思考がドロドロしてきた。
もう夜だし、遅くなるって母さんに電話かメールしなきゃいけないのに、なんか億劫でやりたくねえ。
なんか、疲れた、いろいろ。
公園で休んでくか。ネカフェ行けるほどこの辺の土地勘ねえし。
ちょうどすぐ前にある自然公園に入ってベンチを探してると……んあ? 何でクリスちゃんが子供と一緒にいるんだ?
ここで意識がバトル用に切り替わらないくらいには、脳みそがフローズンしてた。
「あーもーめんどくせえ! 一緒に探してやるから大人しくしやがれ!」
「こんばんは〜。何やってんの?」
「あ? ――な、て、てめえ!!」
そんなのけぞるみたいに拒否られるとおれも悲しいんですが。
「そこの子供ら何? 誘拐?」
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