プロローグ ラグナロク
[2/2]
[9]前 最初 [1]後書き [2]次話
彼は神魔の前から数メートル移動したその地点で、力尽きた。
つまり、死んだのだ。
体はピクリとも動かず、声を発しない。
ーーーーあやつほどの人間、早々に居るまいよ、我らが王よ。
ーーーー同感だぞ、神の王よ。このまま死なせると人間界に置いてかなりの損失だぞ。
彼らは口々に言う。
『………如何する、魔の王よ』
『これ程の好敵手、失うには惜しい。何より、彼は我々にはない可能性が在る』
すると、大きな鎚を持った大男が前に出る。
『儂に任せておけぃ。見事に蘇生させようぞ』
しかし、それを押しとどめた。
『待て、雷神。普通に蘇生させてはそれこそこやつの為にならんだろう』
『では、どうしろと?』
彼は言うと、一人の男を呼び寄せた。
『お呼びで御座いましょうか』
『うむ。彼の者の記憶の一切を、ある一つの引き金で復活するように細工し、蘇生させよ』
『記憶封印……それを復活する鍵を作れ、と申し上げましたか』
『如何にも。お主なら出来るであろう?』
『無論、私は蛇遣い。どんなものでも治し、癒すものでございます。その様な細工、出来ないのでは名折れで御座います』
蛇遣いはそう言うと、杖を地面に付ける。途端、彼の体が光り、次の瞬間、その光が消えた。
『完了致しました。念のため、体の紋章も隠蔽を施しました』
『ご苦労』
蛇遣いを下がらせると、ライズに手紙と、ある一本の剣を体の上に置き、立ち上がると、言う。
『長居は無用。帰るぞ、“上”に』
『そんじゃ、俺らは“下”だな』
言うと、魔の軍勢は姿を消し、神の軍勢は一人を残して消えた。
『……何時か、また再会するときを心待ちにしておるぞ、“黄昏戦争の仲裁者”よ』
そういって、彼も姿を消し、そこには一人の記憶を失った男が寝ていた。
[9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ