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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第153話 蔡瑁反乱画策
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宰の様子を見て、これ以上問いただしても時間の無駄と思ったのだろう。蔡瑁は何かを思い出したように家宰に質問を変えた。

「徳珪様のお言いつけ通りに帰っていただこうといたしました。ですが、これから帰ると日が暮れるから宿を紹介してくれと頼まれ、仕方ないので目ぼしい宿を紹介しました」

 蔡瑁の表情が変わった。

「あの者達はまだ帰っていないのか?」
「はい、案内した宿にいると思います」
「その宿に直ぐに人を遣れ! 秋佳がいたら私に直ぐに連絡しろ」

 蔡瑁は凄い剣幕で家宰に命令した。

「かしこまりました」

 家宰はいそいそと張允の部屋を出て行った。
 蔡瑁は家宰が出て行くのを見送ったが、気が変わったのか張允の部屋を足早に出て行った。屋敷の入口付近に蔡瑁が来ると、屋敷の家宰が若い何人かの下女二人に指示を出していた。彼らを劉表の使い兵達が宿泊している宿に向かわせるつもりなのだろう。

「私も行くぞ。早く案内しろ」

 蔡瑁は家宰に声をかけた。

「徳珪様もご一緒に行かれるのですか?」

 家宰は蔡瑁の言葉に驚いている様子だった。

「早く案内しろ!」
「かしこまりました。お前たち徳珪様を例の宿にご案内差し上げるのだ」

 蔡瑁が苛立ちを隠さずに家宰に命令すると家宰は下女二人に命令した。下女二人は蔡瑁を案内すると聞き緊張している様子だった。



 蔡瑁が宿屋に到着すると劉表配下の兵達は宿を既に後にしていた。それを店主から聞いた彼女は怒り狂い、店主に掴みかかり首を絞めると乱暴に殴りつけた。彼女と一緒に来ていた下女二人は店主を気遣い介抱していた。

「伊斗香の奴に気を取られ、秋佳を逃がしてしまうとは。何たる醜態だ」

 蔡瑁は苦虫を噛み潰し愚痴った。下女二人は彼女の勘気に触れるのを恐れ余計なことは口にせず、彼女の言葉を待っている様子だった。宿屋の店主に至っては、彼女の怒りに恐怖の表情を浮かべていた。

「蔡徳珪様、私が至らぬばかりに劉荊州牧の使者様が宿を立ったことをお知らせせずに申し訳ございませんでした」

 店主は必死に蔡瑁に頭を下げ謝罪した。

「義姉上の兵達は何時立ったのだ?」
「八刻(二時間)程前にございます」

 店主はほっとした様子で蔡瑁に答えた。

「間に合わんか」

 蔡瑁は険しい表情で思案していた。

「いや。秋佳を連れていてはそう馬の足とはいえそう遠くまで行くことはできまい」

 蔡瑁は口角を上げくすりと笑った。

「店主、この宿に泊まる予定だった者達の人数は分かるか?」
「五人でございました」

 しばし、蔡瑁は思案気な様子だったが考えがまとまったのか顔を上げると狡猾な笑みを浮かべた。

「秋佳、逃がさんぞ」

 その後の蔡
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